内容説明
不慮の事故で命を落としたクリスがたどり着いたのは、「常夏の国」と呼ばれる楽園だった。だが、まもなく信じがたい知らせが届く。最愛の妻アンが、彼を亡くした悲しみに耐えきれず自殺してしまったというのだ。クリスは旅立つ―アンを救うため、想像を絶する苦難が待つ地獄へと!愛のみが成し遂げうる魂の救済を描き、『ある日どこかで』と並び称されるファンタジイの傑作。
著者等紹介
マシスン,リチャード[マシスン,リチャード] [Matheson,Richard]
1926年アメリカ、ニュージャージー州生まれ。作家、脚本家。2013年没
尾之上浩司[オノウエコウジ]
英米文学翻訳家、文芸、映画、メディア評論家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
つるら@turulaJB
7
尾之上浩司訳 1999.4■死を乗り越える壮大な愛■ホジスンのナイトランド を思い出してしまったけど読みやすさは断然上(比べるのが間違ってる)■あまりダークではないファンタジー、マシスンってこういうのも書くのね■■2018/12/27
paluko
4
再読か、再々読か?p.355から約7頁にわたって生前、奥さんがしてくれ(てい)た些細なことを一つ一つ、具体的に数え上げて感謝する場面がものすごく好きで、この部分を読みたいがためにたまに読み返している。関係性とはこういう細部の積み重ねで養われるのだなあと思います。2020/06/14
マーブル
4
「天国」の描写は素晴らしく楽しめる。自分の意思の力で様々な事が実現できる世界。理想の家や身体のコントロール。本当にこんな世界が待っていると分かっていれば、確かに死を恐れる事はなくなるのだろう。 希望を抱かせる描写。逆に絶望を覚える部分。 いくら愛があっても、拒絶する心。本人に気持ちがなければ。 簡単に、思うようなストーリー展開とはならないのがいい。 魂の救済には、現世では長い長い時間がかかるのは当然の事なのだ。2017/03/29
ウララ
3
作家のクリスが事故で亡くなり、”常夏の国”と呼ばれる天国へ行く。妻を待ちながら幸せに暮らすはずが、自殺してしまった妻は”地獄”へ。クリスは愛する彼女を救いに行く。ちょっとスピリチュアルな内容で、飛ばし読みしてしまった部分も。死んだあと自分の人生を肉体的苦痛なしに再体験しそれによって罪を浄化するというくだりは考えさせられた。閻魔様や最後の審判はないわけだ。「自己欺瞞を再認識させられる以上に厳しい有罪判決などありえないだろう?」なるほど。クリスの妻への愛情がものすごく強かった。こんなに人を愛せたらいいね。2013/08/12
aki
2
ダンテ『神曲』の如く、主人公が天国、煉獄、地獄を経巡る話。キリスト教の死生観を背景にしていると思っていたが、結末近くで、突然、輪廻転生の話が出てくる。輪廻転生とキリスト教は相容れないよね。昔、フィリピンに駐在していたとき、フィリピンの方が(キリスト教徒なのに)、すぐに「カルマ」「カルマ」と言い出すのに、びっくりしたことを思い出した。主人公は、えらく能動的・積極的だが、死者は、こんなに動けないよ。死の生命は受動的・静態的。死者を救うことができるのは生者だけだ。死者は自分たちだけでは境涯を変えられない。2023/07/03