内容説明
ドラキュラ紀元1918年、ドイツ戦闘航空団の蝙蝠の翼が夜空を切り裂く。イギリスを追放された『吸血鬼の王』が、ついに報復をはじめたのだ。敵の拠点たる古城を探索する英国諜報部員は何を見たか?祖国を捨てた詩人エドガー・ポオが受けた独皇帝の密命とは?虚実ないまぜて物語られる、もうひとつの第一次世界大戦。恐怖と鮮血の年代記がここに再び開幕する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
星落秋風五丈原
34
第一作で英国を去ることになったドラキュラ。まあ、てっぺん=女王を取って権力の座についたのだから、そのてっぺんがいなくなったら弱いでしょうな。逃げた先はドイツで、憎っくきイギリスにリベンジするために…そうです、もう第一次大戦を舞台に使うよ、と言っているようなものですね。本作は一作目のホラー&サスペンスからがらりと変わって戦記物になります。第一作で三十代だったボウルガードも六十四歳に。ジュヌビエーブも出てこないので二人のラブラインはなし。まあ登場したとしても、さすがに六十代と見た目十代の恋愛は犯罪だろう。2018/05/30
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29
*ドラキュラ三部作②*ヘルシングに勝利したドラキュラ伯爵だが、ついに英国を撤退…数年の月日が流れた。だがある日、ドイツ撃墜王リヒトホーフェン率いる吸血鬼化戦闘航空団が夜空を切り裂く!追放された"不死者の王"の復讐がついに始まったのだ!?(紹介文・他より)――ブラボー!もうひとつの第一次世界大戦を舞台に、ドラキュラ伯爵と人類の戦いが繰り広げられる! ⇒続き2013/10/13
めがねまる
15
ドラキュラがヴァン・ヘルシングに勝利し、実在の人物と有名無名の作品の登場人物が入り乱れる虚構の世界で暗躍する、メタ・フィクションの第2作。今回は第1次世界大戦の真っ只中、人間も吸血鬼も塹壕で泥にまみれて戦っている。今回もあらゆる作品の吸血鬼が登場するが、戦争が主体なのであまり吸血鬼の魅力は感じない。吸血鬼も戦場で死んでゆく。前作の霧深い世紀末のロンドンとはあまりにも違い、怪しい魅力は乏しい。吸血鬼の存在が当たり前の世界では変身能力も新しい兵器と同じようなもの。やはり闇の生き物は闇に潜んでいて欲しい。2015/09/05
本の蟲
11
ヴァン・ヘルシングが敗北し、ドラキュラはじめ吸血鬼たちが表舞台に現れた歴史改変幻想譚「ドラキュラ紀元」の続編。英国を追放されたドラキュラ。欧州の宮廷をわたり歩きながら軍人や、貴族たちを転化させ、ついにはドイツの首相兼軍最高司令官に上り詰める。そしてサラエヴォで起こった事件を契機に、欧州すべてを巻き込む大戦が始まり、戦場では吸血鬼も温血者(人間)も等しく命を散らしていった…。相変わらず史実をなぞりながら、中身は別物という倒錯がおもしろい。実在の人物と古今東西の創作上のキャラが入り乱れているのも相変わらず(続2021/10/27
Masa
11
読了。読む前までは、「イロモノ」と思い中々手が出ないのですが、それでも見つけたら買ってしまうし、読み始めたらやめられないキム・ニューマンのこのシリーズ。いろんな小説や映画を知っていればもっともっと楽しめるのでしょうが、そうでなくても十分に楽しめます。登場人物多いし時々なにがなんだかよくわからなくなりますが、いいんです。ドラキュラがヘルシングに勝ってる時点でもはちゃめちゃなんですから。結末がすごく気になるけれど、『ドラキュラ崩御』は残念ながら未入手。見つけたら絶対購入して読むぞ!2016/12/01