出版社内容情報
2011年(平成23年)3月11日に発生した東日本大震災は、東北地方の太平洋岸を中心に未曾有の被害をもたらした。理不尽な死に見舞われた無辜の人々と、残された者たちと──彼岸と此岸、死者と生者の幽暗なあわいに思いを凝らす作家たちの手で、新時代の怪談文芸が澎湃と生み出されてゆく……。平成の三十余年間に誕生した極めつきの名作佳品を、全三巻に精選収録する至高の怪奇小説アンソロジー。最終巻となる三巻には十五作を収録。
内容説明
平成23年3月11日に発生した東日本大震災は、東北地方の太平洋岸を中心に未曾有の被害をもたらした。理不尽な死に見舞われた無辜の人々と、残された者たち―彼岸と此岸、死者と生者の幽暗なあわいに思いを凝らす作家たちの手で、新時代の怪談文芸が澎湃と生み出されてゆく。平成の時代に誕生した極めつきの名作佳品を全三巻に収録する、至高の怪奇小説アンソロジー最終巻。
著者等紹介
東雅夫[ヒガシマサオ]
1958年神奈川県生まれ。早稲田大学卒。文芸評論家、アンソロジスト。『幻想文学』と『幽』の編集長を歴任。著書に『遠野物語と怪談の時代』(日本推理作家協会賞受賞)ほか(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
119
平成怪奇小説の第三冊目です。ここには15名の作家の作品が収められています。私は第2冊目で少しがっかりしてしまったのですが今回は非常に楽しめました。既読の作品がいくつかあるのですが(京極、木内、高橋、小野さんのもの)、今回読んでも再度新鮮な印象を受けました。また澤村伊智さんの未発表の作品も収められています。お得な作品集だと思いました。2019/12/09
HANA
74
怪奇小説アンソロジー三巻目。三巻目は平成二十年から三十年までに発表された諸編を収録。やはりこのシリーズ、日本怪談独特の湿気といった物を感じさせる作品が多く収録されており本巻もその例に漏れず非常に満足。大濱普美子「盂蘭盆会」や諏訪哲史「修那羅」とか特にそれが顕著で、前者等家が孕む暗闇に圧倒されっぱなし。あと実話怪談というものを捉え直そうとした作品も特徴的。京極夏彦「成人」や黒史郎「海にまつわるもの」舞城王太郎「深夜百太郎」とか、実話を意識的にやるとこうなるんだと目を見開かされるな。いいアンソロジーだった。2021/05/18
sin
71
いまだから平成の後期と云う捉え方になってしまうが作品が発表された時点で誰にそれが予期出来ただろうか?この時期にあの衝撃的な津波の映像が世間を震撼させたことは記憶に新しく、それからも立て続けに天災に晒されることになり…そのせいもあってか文芸の世界では実話系しかり、転生ブームも含めて彼岸に思いを馳せる作品が増えたようだが、ここに並ぶ作品に見られる様に、そこには平成が円熟期を迎えた多様性こそ感じとれて、これに続く作品に期待を強く感じていた。さて令和は文芸の世界にどんな影響を及ぼす時代となるのだろうか?2020/01/03
アーちゃん
47
「平成」年間に発表された怪奇小説シリーズ3作目、最終巻。2008年から2018年までの15篇。さすがにこの巻は既読が6作と最も多く、文庫で持っている作品もあったけれどほぼ再読した。解説にもあった通り、2011年の東日本大震災を境にホラー・幻想・怪奇小説の趣が変わってきたように思うのはこうして年代順に編んだ短編集を読んだためか。初読は高原英理、大濱普美子、小島水青の三氏。やや苦手気味だった舞城王太郎「深夜百太郎」の(三十六太郎)と再読の澤村伊智「鬼のうみたりければ」が怖かった。2025/03/11
鷺@みんさー
40
既読作品も多いながら、再読してもやっぱり面白い!と、今回も読み応えたっぷり。マイジョーはやっぱ泣く。泣くよもう。澤村伊智が例によって、家族の不協和音あるあるで入り込ませながら、怪異と精神のあわいを書くのがガチウマ。あー好き。これ好き。2020/06/06