出版社内容情報
猫は愛らしいだけじゃない。不思議な猫、妖しい猫、なぜか作家心をくすぐる存在なのだ。萩原朔太郎「ウォーソン夫人の黒猫」、江戸川乱歩「猫町」、岡本綺堂「猫騒動」、泉鏡花「駒の話」、ペロー「猫の親方 あるいは長靴をはいた猫」、レ・ファニュ「白い猫」、ブラックウッド「古い魔術」、ミットフォード「ヴァンパイア・キャット」等、猫のあやかしを通じて東西の怪奇幻想譚を読み較べる、猫づくしの短編集。
東雅夫[ヒガシマサオ]
編集
内容説明
猫ほど不思議が似合う動物はいない。謎めいたところが創作意欲をかきたてるのか、古今東西、猫をめぐる物語は数知れず。本書は古くは日本の「鍋島猫騒動」に始まり、レ・ファニュやブラックウッド、泉鏡花や岡本綺堂ら東西の巨匠による妖猫小説の競演、萩原朔太郎、江戸川乱歩、つげ義春の「猫町」物語群など21篇を収録。猫好きにも不思議好きにも堪えられないアンソロジー。
著者等紹介
東雅夫[ヒガシマサオ]
1958年神奈川県生まれ。早稲田大学卒。文芸評論家、アンソロジスト。怪談専門誌『幽』編集顧問。著書に『遠野物語と怪談の時代』(日本推理作家協会賞受賞)ほか多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sin
67
「猫町をさがして」詩人の空想力は見慣れた街角を異界に変貌させ郷愁を誘う。一方、英国紳士の想像力は都合よく逃避を正当化し、あげく信仰の畏れに膝を折って投げ出してしまう。猫町の郷愁に共感する本邦の作家たち。「虚実のあわいにニャーオ」化ける猫は孤高の顕れ。人の不人情と駒の矜持。「怪猫、海をわたる」鍋島の化け猫、吸血鬼の先駆け。迷信、とんだ濡れ衣。ペロー=或る詐欺師の話。2018/08/30
HANA
66
猫って気が付けばふっと居なくなって、気が付けば近くで欠伸している。多分その間は気の向くまま、この世ならざる所で遊んでるんだろう。本書に収録された作品はそんな世界を超えたような猫たちの生態を追ったような作品ばかり。全体は三つに分かれていて、前半は猫小説では外せない「猫町」と「古い魔術」及びその周辺を扱っている。中盤は幽霊やらしゃべる猫やらがどっさりと。中でも鏡花「駒の話」はその凛とした佇まいが素晴らしい。後半は鍋島の化け猫騒動が海を渡った話。読んでいるうちに文中の猫に引き込まれて…やっぱり猫には魔力がある。2019/04/08
mii22.
65
猫ほど「怪」「妖」という文字が似合ういきものはいないだろう。その謎めいた存在に惑わされ魅了されるひとは古今東西数知れず、もちろん私もそのひとり。ここにはそんな猫好き怪異好きを満腹にさせてくれる、アペリティフからデザートまでのフルコースが用意されている。お腹いっぱい、ごちそうさまでした。2018/09/04
ヘラジカ
34
妖猫ということで、猫とは言っても怪異譚やお伽話を集めた化け猫アンソロジー。小説以外にもエッセイや論考なども収録されていてかなりのボリュームだが、もう少し絞ってスマートにした方が手に取りやすいんじゃないかなと思わないでもない。とにかく猫小説が読みたい人にとってはパート1の江戸川乱歩は蛇足に違いない(乱歩の交友関係が知れるのは少し面白かったが)。化け猫の話ばかりなので必然、猫が人を害する話が多くなるが、個人的には"善い猫"が出てくる話の方が面白く読めた。泉鏡花『駒の話』ミットフォード『忠猫の話』がお気に入り。2018/08/12
くさてる
26
猫作品のアンソロジーと思ったら、ちょっとばかし趣が違いました。萩原朔太郎「猫町」に始まって、そこからの連想のようにひろがる各作家による猫のお話は、やがて鍋島の化け猫話にまで着地する。これはかなりお好きなひとのための本という印象を受けました。研究本に近いかな。ブラックウッドの「古い魔術」が雰囲気といい完成度といい、ピカ一です。2018/10/03
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