出版社内容情報
緻密かつ鮮やかな筆致で描き上げられた、邪神ツァトゥグァ信仰が栄える暗黒大陸ヒュペルボレオスにまつわる数多の物語を、『ゾティーク幻妖怪異譚』に続き集成する。
内容説明
邪神シァトッグアが地底に潜み、魔物が跋扈する超古代大陸ヒュペルボレオス。栄華を誇る首都コムモリオムが放棄されるまでの奇怪な顛末を描く「アタムマウスの遺書」、異端の魔術師エイボンと宿敵の対決が思わぬ結末を迎える「土星への扉」他、アトランティス最後の島ポセイドニスの逸話も併載する。『ゾティーク幻妖怪異譚』に続き、美と頽廃の詩人による23の綺想を収める傑作集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
miroku
22
ウィアード・テイルズなど、20世紀アメリカの怪しげな雑誌に掲載された作品は、実に、マニア心を騒がせる♪ ・・・良い、実に良い♪2012/07/06
眠る山猫屋
19
クトゥルーにも繋がる遥かなる太古の物語群。ヒュペルボレオス大陸が、魔性の氷河に浸食されて失われるまでには、やっぱりいろいろあったんだな、と教えてくれる一冊。ツァトッグアが思いの外人間臭い(笑) 地獄巡りさせられた男には同情するけど、魔道士があっちこっちにいて怖いなぁ。2013/12/21
かりさ
18
地球最後の大陸ゾティークの幻妖怪異物語に続く、超古代大陸ヒュペルボレオスとアトランティスの物語。今作もスミスの幻妖世界に心地良く浸りました。綴られる幻想怪奇な世界は詩的で澱みなく、言葉の美しさにうっとりと心酔。地底に潜む古代の邪神、魔物や妖術師が跋扈する世界、ギリシア神話に登場する土地ヒュペルボレオスにまつわる創造世界。異郷の物語も堪能しました。お気に入りは魔術師エイボンに絡む物語。特に「土星への扉」が好き。第三作品集(こちらのタイトルも素敵)が楽しみ♪そして今作も東逸子さんの表紙画が素晴らしく美しい。2011/06/07
sibasiba
17
超古代大陸ヒュペルボレオスの話は生贄たらい回しの『七つの呪い』と白蛆が氷山に乗り死の冬を齎す『白蛆の襲来』とエイボンとその仇敵モルギの滑稽なキュクラノシュの冒険『土星への扉』が好き。アトランティスの話は魔術師マリュグリスが登場する『最後の呪文』『マリュグリスの死』が好み。その他の話では『歌う炎の都市』と何より『柳のある山水画』が好き。『柳のある山水画』はなんてことの無い小品なのだが凄く好き。何篇か既読の話があった。2014/12/06
拓也 ◆mOrYeBoQbw
11
幻想短篇集。C.A.スミスの『黒の書』第二弾になります。今作はツァトグァ(ゾタックアー)、ウッボ=サトゥラ(ウボ=サスラ)、魔導師エイボンと最もクトゥルフ・ファンに馴染みの短篇集と言えますね。他にもサタムプラ・ゼイロスやマリュグリスと特徴的な人物が活躍する連作が多く、年代記ファンタジーとして読み易いです。2015/04/26