内容説明
たったの十ペンスで、おいしい肉料理を食べさせる怪しい料理屋の話、オウムと結婚したオールドミスの話、牡猫ムルが語る、けちな四人姉妹に殺された猫の話、フォルスタッフが居合わせた恐ろしい宴会の話等々……チョーサーの旅籠〈陣羽織〉ならぬ、薄暗い料理屋〈陣羽織〉で亡霊たちがかわるがわる聞かせる奇怪な物語の数々。鬼才J・レー傑作
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
skellig@topsy-turvy
13
亡霊たちによるカンタベリー物語の再来!奇怪で幻想的な、一筋縄でいかない語り手たちが、それぞれのネタを披露する夜。たった10ペンスで美味い料理を出す料理屋、オウムに恋した女、猫殺しの呪い、タイバーン処刑場、紙から肉体化した男などなど、摩訶不思議な物語伽藍が楽しめた。2013/08/06
rinakko
6
これは好きだわ…と楽しく堪能した。滑稽味とシュールさの黒い匙加減といい、かなり残酷なのにあっけらかんとした妙な明るさの塩梅といい、嗤えて面白い。三文文士が迷い込んだのは、亡霊たちの集会所《陣羽織》。そこでは一人一人が順々に話者となり、奇天烈な物語を聴かせてくれるのだが。なぜか顔ぶれの中には牡猫ムルがいたりフォルスタッフがいたり、チョーサーその人の姿もあり。(カニヴェ博士の章がオウムと結婚したオールドミスの話というのは、むむむ) カンタベリー物語を先に読むつもりだったのに、こちらから手を付けてしまった次第。2014/05/08
timeturner
5
すごく好きなタイプ。時代も国も超越し、サウスワークの怪しげな居酒屋で亡霊たちからお話を聞く楽しみ。チョーサーもホフマンもシェイクスピアもごったの闇鍋怪奇幻想小説集って感じ。「蜜窩(みつぶさ)」という言葉を初めて見た。これって蜜蜂の巣のこと?2018/09/30
王天上
4
アンソロジーに収録されてた短篇が面白かったので買った一冊だったが、こちらはちょっとピンとこなかった。ユーモアが加味されているせいかな。2016/09/21
ホレイシア
2
こういうの、好きです。チョーサーの方はすっかり頭から抜け落ちていたけど、それでもこういう百物語みたいな設定の話は超好み。出だしがちょっと鬱陶しかったかな。集まった面々が話し始めたら、もう夢中。特に船乗りの話というのはわくわくする。「コランタン」に通じるところがあるのかも。2012/06/15