創元推理文庫<br> 死の舞踏

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創元推理文庫
死の舞踏

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  • サイズ 文庫判/ページ数 272p/高さ 15X11cm
  • 商品コード 9784488534042
  • NDC分類 933

内容説明

なぜ目覚めたのか、わたしには分からない。蒸し暑い夜だった。やがて目の前の衣装箪笥の扉が開き、中身のない夜会服が滑り出てきた。それは宙を漂い、窓を抜けて外へ―。哀しくも恐ろしい表題作をはじめ、〈ゴーメンガースト三部作〉外伝とも言うべき「闇の中の少年」など、想像力の極北をきわめたピークがおくる怪奇と幻想のアラベスク全5編。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

64
ゴーメンガースト三部作を正月休みに読む前にマーヴィン・ピーク作品がどんなものかを短編集で試し読み。結果、私の好みドンピシャの幻想怪奇色で思わず、震えました。予言をしたために虐待死された船乗りの復讐譚でもある「灰のひと撫で」は映像化しても映えそうです。「同じ場所、この時間で」は今いる状況の有り難みを忘れて情動に駆られた結婚生活の幻滅を抉り出していて唸りました。しかし、マーヴィン・ピーク氏のまるで魔物に魅入られたような破滅的人生に顔を青褪めざるを得ない。そして内容と表紙はミスマッチだと思わざるを得ません。2016/12/10

syaori

36
怪奇的で時に幻想的な中・短編が収められています。閉ざされた船上や夜、闇の世界が舞台で、そこに登場する異形の者たちはどこか滑稽さもあるのですが、醜い残酷な唯美主義者でもあったりして、彼らの織り成す物語、雰囲気に「恐れ戦いていた、が、同時に魅せられ」もしてしまいます。幻想味が強いほうが好みなので、船上が舞台で予言を中心に展開する『灰のひと撫で』や、月に照らされて燕尾服が踊る『死の舞踏』が好きでしたが、中篇の『闇の中の少年』は「城」の重々しい儀式や子羊の抗穴の描写が印象的で、少年の冒険譚としても面白かったです。2017/04/25

ニミッツクラス

33
【日本の夏は、やっぱり怪談】〈其の二・洋編〉 88年(昭和63年)の400円の文庫初版。5編収録で、当時は帆船マーク。カバーが美麗。巻頭2作は船乗り物で、ホジスン的怪異は無く、キ〇ガイ船長の恐怖の勝手し放題。「死の舞踏」はSキングに非ず。服マニトウ物で、化け夜会服のお相手は化けイブニングドレス。巻末「闇の中の少年」は著者が病気で正気を失う前の最後の中編。儀式に辟易して城を出奔した14歳の若き領主はヤギ人間とハイエナ人間に捕まる。行先は仔羊陛下(ラスボス)の宮殿。微に入り細を穿つ話で読み疲れた。★★★★☆☆2023/08/04

skellig@topsy-turvy

19
エレガントでダーク、ゴシックでビザール!ゴーメンガーストの外伝的位置づけらしい「闇の中の少年」を始めとして、暗闇、異形、闇の存在が跋扈する幻想世界を楽しませてもらいました。こだわりを感じる言葉遣いにもうっとり。容赦なく人の命を投げてしまうけれど凄まじい美意識をもった船長に、昔は人間だったらしいヤギとハイエナ、空っぽの夜会服に人に見えたはずの「何か」…恐ろしいがゆえに蠱惑的な小世界。2014/12/05

たぬ

17
☆3.5 短編4、中編1収録で書かれたのは冒頭のは作者20歳前の時。順繰りに読んでいったけど「これは…どう解釈すればいいのか??」というものが続いたので途中は潔く飛ばして海外小説では群を抜いて大大大好きな「ゴーメンガースト」外伝とされるラストの中編「闇の中の少年」へワープ。まったくここの世界観はどうなっているんだろう。あの城は異次元とつながっているに違いない。それでも本家の5点満点には遠く及ばず。2023/11/18

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