出版社内容情報
忘却城に眠る死者を呼び覚まし、蘇らせる術で発展した亀琲王国。過去の深い傷を抱えた青年儒艮は、ある晩何者かに攫われ、光が一切入らない、盲獄と呼ばれる牢で目を覚ます。そこに集められたのは、儒艮の他五人。彼らを集めたのは死霊術師の長である、名付け師だった。儒艮は死霊術の祭典、幽冥祭で事件が起きると予測、彼らはそれ阻止すべく動き出す。名付け師をめぐる陰謀の全貌は? 第3回創元ファンタジイ新人賞佳作選出作。
内容説明
忘却城に眠る死者を呼び覚まし、蘇らせる術で発展した亀珈王国。過去の深い傷を抱えた青年儒艮は、ある晩何者かに攫われ、光が一切入らない盲獄と呼ばれる牢で目を覚ます。儒艮ら六人を集めたのは死霊術師の長、名付け師だった。名付け師は謎めいた自分の望みを叶えるよう六人に命じ、叶えられた暁には褒美を与えると言うが…。第3回創元ファンタジイ新人賞佳作入選作。
著者等紹介
鈴森琴[スズモリコト]
東京都出身。玉川大学文学部卒業。2018年、『忘却城』(応募時のタイトルは『忘却城の界人』)が第3回創元ファンタジイ新人賞佳作に選出される(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さつき
68
死者の葬送、または甦りの術で栄える亀珈王国を舞台にした中華風ダークファンタジー。細部まで考え抜かれた独特の世界観に魅力されます。盲目の死霊術師の少女のパートと、半身不随の教師のパート、二方面から進みます。バラバラに思える物語が最後には繋がり、綺麗に閉じたことに感動しました。この世界には、まだまだ語り尽くせない部分がありそうで、別の時代、別の人の物語を読んでみたいものです。2019/04/15
よっち
39
忘却城に眠る死者を呼び覚まし、蘇らせる術で発展した亀琲王国。過去の深い傷を抱えた青年儒艮は盲獄と呼ばれる牢で死霊術師の長・名付け師と出会い、幽冥祭で起きる事件を阻止すべく動き出す中華風ファンタジー。許嫁を殺された盲目の死霊術師の少女と、これまた訳ありの過去を持つ教師・儒艮の二つの視点から語られてゆく展開で、複雑な設定を作中でもう少し上手く説明できると良かったですが、スケールの大きな世界観や積み重ねていった伏線を最後で巧みにまとめあげてみせた結末には可能性を感じました。もう少し広がりを期待したい作品ですね。2019/04/17
miri
38
第3回創元ファンタジイ新人賞佳作入賞。死者をあの世から呼び戻す術を使う死霊術師がいる世界。人外のもの、我々の社会には存在しない職業、制度、世界観を作り上げるのに大変な苦労をしたのだろうと推察される。我々の社会が今、死者を甦らせることができたならと想像して楽しんでいたが、そもそもこの本はミステリー要素があり謎解きを楽しむものである。少しずつほどけていく段階を楽しんだ。文字で記されているがコミックで描かれた方が魅力的かつ直感的に理解できたと思う。2025/01/13
すがはら
37
凝ってるなぁというのが第一印象。世界観も諸々の設定も文章も。断片的に示される情報をしっかり覚えてつないでいかないと話が見えなくなるので頭を使いたくない時には読んではいけない本。作中で提示される疑問や伏線が放置されることはない ので満足感はいっぱいです。儒艮のキャラが良い。第二王太子と儒艮の思い出話がもっと聞きたかった。しかし、死者から秘密を聞き出せるとか使役できる設定では、目障りでも殺せないとかの制約がなくて怖いなと思うのですが。術士から身を守るのは常人には無理っぽいか。2019/10/16
りー
36
皇女アルスルからこちらへ。世界観が「○系」毎に違って、こちらは第一系人たちの世界。一言で言うならズバリ、ライライ・キョンシー‼️…を、深くしたような世界観。ま、道教ベースってことで。死者の甦りに関係して物語が進むので、脳内映像再現にモザイクをかけ、自主規制しながら読みました。細かく作り込まれた設定を一つ一つ飲み込んでいく作業はファンタジー中毒者にはたまらない快楽なのでとても楽しかった。1巻でしっかり気持ちよく完結してますが、続きがあるので読んでみます。2023/02/23