出版社内容情報
虚空に黒の光芒を放つ巨星ラヴクラフト。Uボートの艦長が深海の底でアトランティスに遭遇する「神殿」、医学生のおぞましい企てを描く「死体蘇生者ハーバート・ウェスト」、セイレムの魔女裁判の史実を巧みに取り込んだ「魔女の家の夢」等、クトゥルー神話の母胎たる全8編を収録した。巻末に、資料「『ネクロノミコン』の歴史」を付す。訳者あとがき=大瀧啓裕
目次
「神殿」
「ナイアルラトホテップ」
「魔犬」
「魔宴」
「死体蘇生者ハーバート・ウェスト」
「レッド・フックの恐怖」
「魔女の家の夢」
「ダニッチの怪」
「『ネクロノミコン』の歴史」
内容説明
20世紀最後の怪奇小説作家H・P・ラヴクラフト。その全貌を明らかにする待望の全集―本巻には、医学生のおぞましい企てを描く「死体蘇生者ハーバート・ウェスト」、ニューヨークの貧民街に巣食う邪教のともがらがもたらす「レッド・フックの恐怖」など、クドゥルー神話の母胎とされる全8編を収録。諸君は一読、鬼才の王国に虜となるであろう。
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- 評価
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
absinthe
171
4巻に並んでお気に入り。ラヴクラフトの魅力はやっぱり恐怖の正体をちら見させて妄想させるところにあり、直接見せないところにある。本巻収録の作品はどれも面白かった。ネクロノミコンの歴史もおまけでついてくる。お買い得巻。『死体蘇生者ハーバート・ウェスト』が好き。
藤月はな(灯れ松明の火)
105
セイラムの魔女裁判や邪教の儀式などをテーマにした物語から「ラブクラフトって実はある種の厳格的なキリスト教信仰を持っていたのかな・・・」と思った短篇集。「神殿」は第一次対戦の悲惨さに人々が発狂し、死んでいくホラー的展開が起こっているのに元凶たる神殿に行こうとする冷静すぎる語り手の決意の方が怖い。そして明らかになる「ナイアルラトホテップ」は彼のモノに出会い、発狂する人類が科学や文明による進歩を望んでいた事からhubrisをテーマにしているのかしら。個人的に「魔犬」が好き。ある一場面は『ヘルレーザー』を連想。2017/09/09
財布にジャック
64
この巻では「死体蘇生者ハーバード・ウェスト」が一番印象に残りました。題名どおり死体蘇生させるお話なんですが、どう考えてもあの有名はシェリーの「フランケンシュタイン」が思い浮かびます。「私の小説のすべては、人間一般のならわし、主張、感情が、広大な宇宙全体においては、何の意味も持たないという根本的な前提に基づいています。」と作者が言っていますが、何を信じればいいのか、物凄く不安にさせられます。それが恐怖を生み出す原因なのかもしれないです。2010/11/26
Bugsy Malone
55
解説によると「クトゥルフの呼び声」以前の、後にクトゥルフ神話の母胎となった6つの短編と中篇「ダニッチの怪」に「魔女の家の夢」を加えた8編。全体的な印象は魔術的な感じが強く、クトゥルフ神話の母胎と言われてもあまりびんと来ない気もするが、一つ一つの作品はやっぱり面白い。中でも深海の無音感に戦慄する「神殿」、73歳のアーミティッジ教授が使命感を持って挑むSFとホラーが融合したような「ダニッチの怪」が特に良かった。2016/02/14
おにく
37
星々の運行に依るものか、それとも彼等の復活が近いのか?良質の怪奇・幻想小説が無性に読みたくなり再読しました。ラヴクラフトの作品は、残された手記や記録を第三者が読むといった書き方が多く、物語に入り込めないと手記を読んでいるイメージしか思い浮かばないのですが、一歩踏み込んで、手記を書いた人物の立場で読む事ができれば、最大級の恐怖、畏怖で表現された"旧支配者"たちの造形に心ときめくと思うのです。この巻では雑然とした屋根裏部屋と深遠な宇宙規模の対比が面白い"魔女の家の夢"と"ダニッチの怪"がおすすめ。 2019/01/30
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