内容説明
「恐怖は人間の最も古い、最も強い情感だ」―H・P・ラヴクラフト。かくして人間は、恐怖を手なずけ、さらには恐怖を愉しむために怪奇小説を発明した。本アンソロジー全5巻には、その代表的な名作が網羅されている。この英米編3には、科学者である父親の実験材料として育てられた娘と、青年の悲恋を描いたナサニエル・ホーソーンの「ラパチーニの娘」ほか、全10編を収録した。
著者等紹介
大西尹明[オオニシタダアキ]
1918年東京に生まれる。早稲田大学卒業。訳書にブラッドベリ「ウは宇宙船のウ」など多数。2001年歿
橋本福夫[ハシモトフクオ]
1906年兵庫県に生まれる。同志社大学卒業。1987年歿(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
19
英米編、終了。「ラパッチーニの娘」では若き二人の哀しき愛とラパッチーニ氏の不器用すぎた娘への愛情に胸を打たれつつもバグリオーニの偽善者振りに吐き気がしました。ラヴクラフトの短編は噂のクトゥール神話体系でしょうか?人から語られる怪異現象のおぞましさと怪異の描写を想像して背筋が凍りました(泣)2010/11/09
翠埜もぐら
8
読み始めて「あれ、ほとんど読んだことが」と思ったのですが記憶にない物もあったので初読だと思います。今回も著名な方の作品ぞろいなのであちこちのアンソロジーに入っているのでしょう。ディケンズの「信号手」とコリンズの「夢のなかの女」はゴーリーの「憑かれた鏡」にありましたね。でもこうやって並べてみるとラブクラフトはSFチックモンスター物だなぁ。大好きな作家なのですがずっと怪奇小説だと思っていました。解説にあったようにSF誕生の一端を担っていたと言われれば納得です。SFとして読むとまた別な味わいがありそうです。 2020/08/19
秋良
7
「あとになって」のあとっていつ?何が起きるの?という不気味感と、妙に噛み合わない人々の認識のズレによる不気味感がいちばん良かった。あとになって、というタイトルのもやもやした感じも不気味。2017/04/29
グラコロ
6
シリーズの中でもこちらは粒ぞろい。いまだにスティーブンソンの〝信号手〟がトラウマになっている。 グラコロ堂〈人生で影響を受けた100冊〉https://bookmeter.com/users/626279/bookcases/115521731977/04/06
きりぱい
6
若島氏が好きだと紹介していたコッパード「アダムとイヴとツネッテ」。読んでみてやっぱり良かった。題は「アダムとイヴ」だったけれど、元のお遊びの趣きが最後にきゅっと来るような思わず顔がほころぶ読後感。コリンズ、ディケンズは既読だったけれど他も豪華メンバーで、美しい毒で切なさに満ちたホーソーンの「ラパチーニの娘」がいい。「あとになって」「あれは何だったのか?」もなかなか好み。ラヴクラフトは安定の?異形の怖さ、ビアスはプレデター張りの怪物とどちらも映画になりそう。「シートンのおばさん」は気味悪いくせにちょっと謎。2013/11/05
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