出版社内容情報
死刑執行前夜、密室状態にあった別々の独房で、二人の囚人はなぜ斬殺されたのか――。世界各国から集められた死刑囚を収容する特殊な監獄に収監された青年アランは、そこでシュルツ老人と出合う。明晰な頭脳を持つシュルツの助手となって、アランは監獄内で起きる不可思議な事件の数々に係わっていく。終末監獄を舞台に奇想と逆説が横溢する、渾身の本格ミステリ連作集。第16回本格ミステリ大賞受賞作。
鳥飼否宇[トリカイヒウ]
内容説明
死刑執行前夜に密室で殺された囚人、満月の夜を選んで脱獄を決行した囚人、自ら埋めた死体を掘り返して解体する囚人―世界各国から集められた死刑囚を収容する特殊な監獄で次々に起きる不可思議な犯罪。外界から隔絶された監獄内の事件を、老囚シュルツと助手の青年アランが解き明かす。終末監獄を舞台に奇想と逆説が横溢する渾身の連作長編。第16回本格ミステリ大賞受賞作。
著者等紹介
鳥飼否宇[トリカイヒウ]
1960年福岡県生まれ。九州大学卒。2001年『中空』が第21回横溝正史ミステリ大賞優秀作に選ばれてデビュー。16年、『死と砂時計』で第16回本格ミステリ大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
372
古典の匂いがする良作。設定自体はディストピア的なものなのに、そこで動く人物たちは古色ゆかしい。各作品のトリックは小粒なものばかりで、そういった面では目新しさは特にないものの、ホームズやブラウン神父の作品群を想起させる風変りなシチュエーションが興味を引いて面白い。後半にいくに従って失速気味かと感じたが、最後の最後で一驚き味わえるようになっており、そのテイストは間違いなく親本格以降のもの。名前だけ知っていて、今まで読んでこなかった作家だが、他の作品も読み進めていこうと思う。2018/02/20
あきら
93
ラストの展開と表現に脱帽です。 終末監獄という設定が、あらゆる非現実的なシナリオにツッコミを許さず、現実と思わせる。 物語が進むにしたがって惹きつけられていきます。2025/03/16
おかむー
82
中東の架空の国にある終末監獄に世界中から集められた死刑囚たち。そこで起こる六つの事件を描いた連作長編。『もうすこしです』。主要な登場人物が死刑囚なので起こる事件もかなりエグく救いもないけれど、ミステリとしての仕掛けは終末監獄という設定を活かして工夫がこらされている。しかし設定からして荒唐無稽なので絵空事感が強くて響くものがない。特に終盤二章とエピローグはミステリと言うより力業で居心地が悪く作品の方向性がわからなくなるちぐはぐな印象で残念。2020/05/10
Bugsy Malone
80
死刑囚だけが収容された監獄を舞台にした連作ミステリー。中には肩透かしと思うようなトリックは有るものの、設定の妙がそれを補う面白さを味合わせてくれた。特に第6章になる、それまで語り手であった主人公の独白からエピローグに至る部分は、著者らしい一筋縄ではいかない秀逸さを持って締めくくられていた。「昆虫探偵」で知った鳥飼さん、私にとっては大注目の作家さんの一人です。2017/12/20
バネ
76
皆さんも挙げているが、やはりLASTの「確定囚アラン・イシダの真実」からのEPILOGUE!このまさかの展開に怖気が立った。実は最初の1、2編を読んで、止めようかと思っていたが、読了出来て良かった。紀伊國屋書店の店員さんに感謝、である。2024/08/27
-
- 和書
- 大事なことだけ覚える技術
-
- 電子書籍
- シム・フースイ Version5.0 …