出版社内容情報
売れない怪奇小説家・津久田舞々(本名)は、ある日小さな田舎町からの依頼を受けて、その町の郷土史を執筆することになる。だが、到着したその日の夜に、彼は謎の幽霊(?)の封印を解いてしまう。「しっかり妾に仕えろよ。さもなくばお前を呪い殺す」――現れたのはまだ幼い少女だった。ふりかかる受難を躱しつつ、紳士的な祟り神から生意気なお狐さまなど、異界のものたちに遭遇してゆく舞々の運命やいかに。(単行本版『優しい幽霊たちの遁走曲』を改題)
内容説明
ホラー作家の津久田舞々は、編集者の勧めで訪れた過疎の町・古賀音の町長から「滞在してこの町のことを書き残してほしい」と依頼される。到着初日に怪奇現象に見舞われた上、「あるもの」の封印を解いてしまった舞々は、その後も手を替え品を替え迫り来る怪異から逃れつつ、どこか異常なこの町の真実に辿り着く。『奇談蒐集家』の著者が贈る愛すべきジェントル・ゴースト・ストーリー。
著者等紹介
太田忠司[オオタタダシ]
1959年愛知県生まれ。名古屋工業大学卒業。81年、「帰郷」が「星新一ショートショート・コンテスト」で優秀作に選ばれる。2004年発表の『黄金蝶ひとり』で第21回うつのみやこども賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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sin
60
ホラーなのだろうか?『ダンウィッチの怪』のオマージュ作品である菊地秀行『妖戦地帯』に登場する邪神のような旧き神の顕現からはクトゥルフ神話を連想させるが、これは本邦のダークファンタシーだと思うのだがどうだろう?人生に見放されて怪異に翻弄される頼りない主人公…その作風は夢と生真面目から離れられない崖っぷちの作家…彼の行き当たりばったりの行動が怪異を招き、その怪異が怪異に繋がっていく…何事にも受け身で後向きな彼は果たして旧き神の復活を防ぐことが出来るのだろうか!?2024/03/08
とろこ
54
読み始めて、主人公の独特な名前に見覚えがあると気付いた。もう少し読み進めて、登場してくる他のキャラの記憶もうっすらと蘇った。こ、これは…。『優しい幽霊たちの遁走曲(フーガ)』の文庫化改題版ではないですか!と途中で気付いたけれど、ラストを忘れていたので最後まで読んだ。ホラーなのに怖くない。むしろ、個人的にはドタバタ喜劇・ユーモア小説として読めた。主人公の性格や小説の構造も読み手によって好き嫌いが分かれるタイプかと思う。ガチガチのホラーではないので、ホラーが苦手な人でも読めると思う。2022/01/25
ワッピー
31
そろそろ限界の見えてきたホラー作家・津久田舞々は、地方の町に移り住み、そこを舞台とした作品を書くという胡散臭い依頼を引き受けてしまう。町のかつての名士・片喰鐵山邸に住み込んだ初日からやることなすことツボにはまって、小気味いいほどに妖しげなものを引き寄せていく津久田に、依頼主の町長は怒るどころか、機嫌上々。津久田を翻弄するモノたちの正体は?そして地底に封じ込められた恐ろしき存在とは?悪夢がつなぐ土俗と禁術の 目眩く時空迷宮とメタな展開にクラクラしながら読み終えました。宿少シリーズから20年ぶりの再会でした。2024/05/24
みやび
27
「奇談蒐集家」が好きだったので、あの感じを求めて手に取ったらやっぱりこちらも面白くて好きな世界だった。最初はどこか不気味で読み進めるのが怖く感じたけれど、封印から解き放たれて次々登場する怪異達のキャラが個性的でコミカルなので、途中からは楽しみながら読めた。ホラーのようでありながらもちゃんとミステリー要素もあるし、新しさは無いものの活字ならではの工夫もあり。どこか奇妙な世界を彷徨ううちに「奇談蒐集家」と関係する部分も少し出て来て嬉しくなったり。個人的にいろんな楽しみ方出来て面白かった。2025/01/30
くろねこ
21
出だしの駅の描写がじわじわと不吉さを誘ってとても好みな始まり。。 ただ読み進めると、各章で主人公が封印から解き放つのはユーモラスな怪異たちで思ってたホラーではなかったのだけど…でも不思議な民話のようで良かった。。2022/07/04
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- 和書
- きみのいのちの「証」に