出版社内容情報
変わった名前をもつ大学院生、中央。彼はちょっとレトロな撞球場「ビリヤードハナブサ」でアルバイトをしている。ビリヤードの腕前は一流、経営手腕は三流の英雄一郎先生が経営するこの店には、個性的な常連客たちが集う。おしゃべり好きな彼らは、仲間内の誰かが事件に巻き込まれると、プレーそっちのけで推理談議を始め、みな素人探偵となって謎を解こうとするのだ。けれど結局事件の真相を言い当てるのは、アルバイトの中央の役割で?! そして今日もまた不思議な事件が持ち込まれ――。第24回鮎川賞受賞作、待望の文庫化!
内山純[ウチヤマジュン]
著・文・その他
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akky本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
toshi
58
2014年のデビュー作で、鮎川哲也賞受賞作。ビリヤード・ハナブサという店のアルバイト男性が安楽椅子探偵となり、事件を解決して行きます。私はビリヤードは全くの門外漢なのですが、色々なビリヤード用語に合わせて事件を解決する様が面白かったです。只、ビリヤード店店長の世界チャンピオンの影が非常に薄く、キャラを生かし切れていないと感じました。てっきり作者は男性だとおもっていましたが、解説を読んで女性であることにびっくりしました。2024/05/03
オーウェン
52
ビリヤード場のハナブサを舞台に、そこに佇む人たちの会話で展開していくライトなミステリ。 全部で4遍あるが、各部のミステリの難度にバラつきがある。 その意味で1話と2話は優しく、3話と4話はそれなりに考えさせる。 ミステリも主軸だが、ハナブサで駄弁る会話のやり取りが心地よく、バイトだが鋭い推理を見せる中央。 年齢不詳の金持ち美女や、やたら経歴がすごいおじさんたちなど。 肩の凝らないミステリなので、サクッと読めるのは有難い。 バンキングやスクラッチなどの専門用語を推理に掛けるのも面白い試みだった。2025/06/14
tonnura007
46
中央(あたりあきら)がバイトするビリヤードハナブサには個性的な客が集まり、ビリヤードをしたり議論をしたりで盛り上がる。仲間が事件に巻き込まれても野次馬となってあれやこれやと事件の議論を展開する。それを聞きながら事件の真相に気づいてしまうのは中央であった。 安楽椅子探偵ものの短編+中編集。事件は小粒、使い古されたネタが多い。事件につながる情報も読者には解決編まで提示されず、ミステリーとしての満足感は少ない。ビリヤードの用語をからめつつ事件を推理する点は面白い。2024/09/04
oldman獺祭魚翁
27
珍しいビリヤードミステリー。よく考えられて面白いが、ビリヤードに詳しくないと面白さが半減するかも……
おうつき
19
ビリヤード場を舞台に個性豊かな常連客と従業員達が謎に挑む連作短編。ライトな読み口でどの話もそれなりに楽しむことができたのだが、物足りなさはある。エピソードによってはビリヤードの要素と謎解きの絡ませ方がやや強引で不自然になっている部分があったり、解決編で長々と説明的過ぎる文章が続いたりと、気になる部分も多々あった。黒後家蜘蛛形式の作品を期待して読み始めたのだが、その部分でもがっかり感があった。2024/03/12