内容説明
天才的テナーサックス奏者・永見緋太郎は、相変わらず音楽一筋の日々を過ごしている。しかし、ひとたび謎に遭遇すると…。初来日することになったアメリカのバンドにまつわる人情味溢れる謎を描く表題作「辛い飴」、第62回日本推理作家協会賞を受賞した「渋い夢」、さらに特別篇「さっちゃんのアルト」を加えた全8篇。ライヴ感ある日常の謎的ジャズミステリ、シリーズ第2弾。
著者等紹介
田中啓文[タナカヒロフミ]
1962年大阪府生まれ。神戸大学卒。93年本書所収の「落下する緑」を鮎川哲也編の『本格推理』に投稿し入選。長編『凶の剣士』(後に『背徳のレクイエム』に改題)が第2回ファンタジーロマン大賞に佳作入選。2002年「銀河帝国の弘法も筆の誤り」が第33回星雲賞日本短編部門を受賞。また、「渋い夢」で第62回日本推理作家協会賞短編部門受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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gachi_folk
12
ミステリー 部分も良いのだが、何と言っても演奏シーンが相も変わらず良い。ジャズにはホント疎いのだが、そんなこと関係なくビッシビシとグルーヴが伝わって来る。音楽好きにはたまらんな。前巻読了後はレコード屋に駆け込んだのだが、今回も迷わず直行。無事に「生活向上委員会」をゲットした。2015/07/02
えむむ
10
空気読まない永見さんの謎解きが爽快。甘い土の落ちが笑えた。さっちゃんのアルト、こうなるかなとよぎったけど何とも切ない…。2023/10/12
りこ
9
前作の「落下する緑」からかなり間があいたのですが、相変わらず面白かったです。それぞれ前作は色、今回は味覚で統一されたタイトルのミステリーですが、それぞれの作品の後のジャズ蘊蓄もまた楽しい作品。2014/10/13
ミノムシlove
8
先だって、アンソロジーで『辛い飴』を読んだ。とぼけた氷見緋太郎の人物設定・甘すぎない温かなストーリー・ギャグ味の無い点、初めて読む作家だったがとても好みだった。グランドピアノのお話は少し奇想天外過ぎてもう一つだったけど、それ以外は甲乙つけがたい短編集だった。音楽要素が豊かなところも気に入った理由だと思う。ジャズの知識は全く無いけれど、セッションって楽しそうだなぁ。2025/07/30
ファーラス
8
再読。やはり上手い永見&唐島のジャズミステリ短編集、2作目。1作目はクリエイティブの裏側中心の短編集だったが、2作目はジャズや音楽を中心に幅広い謎へとスケールアップしている。とにかく、演奏シーンの描写と雰囲気作りが、他のなんちゃって音楽小説とは桁違い。筆者自身が奏者であるから、音楽を適切に表現して場面や展開の印象を狙い通りに導く語彙の豊富さ、適切さが違う。このシリーズを読むと、門外漢のほぼ全員は音楽小説を書きたくはなくなるだろうな。面白くも豊かな隙のない傑作シリーズなのに、全然読まれていないのが残念。2024/06/27