内容説明
あたし、大西葵13歳は、人をふたり殺した…あたしはもうだめ。ぜんぜんだめ。少女の魂は殺人に向かない。誰か最初にそう教えてくれたらよかったのに。だけどあの夏はたまたま、あたしの近くにいたのは、あいつだけだったから―。これは、ふたりの少女の凄絶な“闘い”の記録。『赤朽葉家の伝説』の俊英が、過酷な運命に翻弄される少女の姿を鮮烈に描いて話題を呼んだ傑作。
著者等紹介
桜庭一樹[サクラバカズキ]
1999年、「夜空に、満天の星」(『AD2015隔離都市ロンリネス・ガーディアン』と改題して刊行)で第1回ファミ通えんため大賞に佳作入選。2003年開始の『GOSICK』シリーズで多くの読者を獲得し、さらに04年に発表した『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』が高く評価され、一気に注目の存在となる。07年、『赤朽葉家の伝説』で第60回日本推理作家協会賞を受賞、直木賞候補に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
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Tetchy
300
地方のどこにでもある町に住む女子中学生2人、大西葵と宮乃下静香が中学2年に体験した、青くほろ苦い殺人の物語。実に中学生らしい青さと清さを備え、あの頃の自分を思い出すかのようだった。少女たちの日常は虚構に満ちている。それは辛い現実から少しでも忘れたいからだ。そして少女たちは今日もセカイへ旅に出る。彼女たちは世界がどんどん広がるのを実感し、万能感と無敵感を覚えていく。彼女たちが認識した世界は実に苦いものだった。これはそんな少女たちの通過儀礼のお話。リアルを知った彼女たちは今後、一体どこへ向かうのだろうか。2018/07/01
hiro
208
まず読み終えて、桜庭さんらしい作品だと思った。そして、辻村さんの『オーダーメイド殺人クラブ』、湊さんの『少女』、そして桜庭さんの『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』と、女性作家の女子中高校生が主人公の作品を思い出した。中高生というは、本来‘死’というものから一番遠い世代だと思うが、これらの作品は、濃淡はあるが、色々な理由により、中高校生が死に興味を持ったり、死とかかわりを持ってしまうことの怖さを感じる。家庭や学校という狭い世界で、もがき苦しんでいる中高校生を助けることができるのは、大人だと改めて思った。2013/01/29
エンブレムT
178
ひとつボタンを掛け違えるだけでも仲間からはみ出してしまうから、学校でも家でも自分の役を丁寧に演じ続けている中学生の葵。少女の日常がリアルで、そしてとても痛い。破滅と紙一重の危うさが冒頭からあり、不安になるような緊張感がラストまで続く物語でした。小さな島で美しく四季が廻る中、少女達は行き所のない怒りと、やりきれない哀しみを抱え生きていく。彼女達の願いは、「誰かの特別になりたい」ただそれだけなのに。・・・身を潜めてる洞穴の中にまで悲しみの原因が踏み込んできた時、少女はどんな職業にでも就くのかもしれない。2010/10/18
sk4
169
ね~、あいつ殺して。なんて頼まれる事ってあるじゃないですか。あるんですよ。殺してなんて気軽に頼まれたりするんですが、そんな時たまたまバトルアックスを装備してる事ってあるじゃないですか。あるんですよ。バトルアックスを持ってることってよくあるんですが、それで廃墟に誘い込んでみたらターゲットの方からして元々自分らの事を殺る気まんまんだったってことあるじゃないですか。あるんですよ。そしたら殺すじゃないですか。殺すんですよ。女子中学生には向かない職業。2012/07/01
とら
153
終始どんよりとした空気が流れていて、良い気分では無かったです。でも読ませる何かがあって、一気読みでしたwこの青空の表紙からは、こんな内容になるなんて想像もできなかったから、プロローグからいきなりズバッと殺人した事を告白されて、そこから流れる不穏な空気に度肝を抜かれました。あと主人公が救われ無さすぎ。もうそこが良い気分じゃなくなった原因ってくらい。少女には向かないというか、誰にでも向かないような...。いやそもそも殺人自体犯しちゃいけないか。ずっと怖かったけど、でも最後は警察に言えた。強くなったのかな。 2011/10/18