出版社内容情報
未踏峰への夢を息子に託す登山家の狩義之は、後援をやめると言う会社重役を撲殺、登り慣れた山で偽装工作を図る(「未完の頂上(ピーク)」)。動物をこよなく愛する佐々千尋は、悪徳ブリーダーとして名を馳せる血の繋がらない弟をどうしても許せなかった(「幸福の代償」)。――完全犯罪を目論む“善良な”犯人を追い詰める、決めの一手は。「刑事コロンボ」「古畑任三郎」の系譜に連なる倒叙ミステリ、シリーズ初の中編集。
内容説明
未踏峰への夢を息子に託す登山家が、後援を止めようとする会社の相談役を撲殺、登り慣れた山で偽装工作を図る「未完の頂上」。動物をこよなく愛するペットショップ経営者が、動物を金儲けの道具として扱うブリーダーの義弟を許せず、遂には殺害を決意する「幸福の代償」。完全犯罪を目論む“善良な”犯人ふたりを追い詰める、福家警部補の決めの一手は。中編二編のシリーズ第四集。
著者等紹介
大倉崇裕[オオクラタカヒロ]
1968年京都府生まれ。学習院大学法学部卒業。97年「三人目の幽霊」で第4回創元推理短編賞佳作に入選、翌年「ツール&ストール」で第20回小説推理新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
buchipanda3
115
福家警部補シリーズ中編集。相も変わらずの福家警部補。登場のボケが始まると、来た来たと嬉しくなる。コロンボが登場すると思わず顔がほころぶのと同じだ。そこまで愛嬌はないけれど彼女も場の空気を変える。真面目で隙があるようで無い語りは犯人には脅威で、犯人以外には不思議な信頼をもたらす。「未完の頂上」「幸せの代償」どちらの犯人も強い信念を持って理想を追い求める人物。その理想のためなら殺人も犯す。そして福家警部補は相手の理想の最も痛いところを突く、容赦なく。理想的な仕掛けはリスクと隣り合わせ。あと彼女にもっと睡眠を。2020/05/30
こら
85
シリーズも4冊目ともなると、面白さは充分承知なので、まず安心して読めました。今回は、老登山家の「未完の頂上」、ペットショップ経営者の「幸福の代償」を所収。中編なので、2作とも犯人の計画が前作以上に非常に精緻に深掘りされていて、読み応えもグッとUP!名犯人の重厚な計画と比例して、福家警部補のますますの超人っぷりも楽しめます(登山、ボルダリングのプロ級ってww)!2022/01/16
五右衛門
72
読了。久しぶりでしたが警部補切れ味増してましたね。倒叙ミステリーと呼ばれるジャンルですが大変面白かったです。中編2話から構成されていました。登場人物がそれぞれいい味を出しており本編以外でも楽しめました。短編も良いのですが中編、長編もお待ちしております。次は考察でしてっけ?早く文庫になれ~。2021/03/04
HANA
69
倒叙型ミステリ四冊目。今回は短編とは違い中編二作を収録している。その分犯人の計画も複雑さを増していてその点に関しては大満足。福家警部補のどこか迫りくる運命を思わせるような非人間的な感じも、いつも通りでこちらも満足。今回弱点も出て来たけど。ただ解決する手段がいつものように論理で追い詰めるのではなく、犯人の情に訴えたり相手のケアレスミスだったりしたりするためその点は不満かな。見方によっては完全犯罪成立しているし。とあれ現在において倒叙型を描いているシリーズはこれだけなので、今後とも継続して読んでいきたいです。2021/03/18
sin
66
心待ちにしていた警部補フクイエとの再開だ!創作者は神の視点を持つと云うが、彼女は創作者の視点で犯人を追い詰めていく。現実に犯人在りきで警察が追及すると云うと取調室で生み出されたと云う冤罪の数々が思い浮かび危ういものを感じてしまうが、大丈夫予め読者は犯行の一部始終を見せられているわけだから…後は彼女のお手並み拝見、今回の事件で“警視庁いきもの係”との揃い踏みが見れなかったのは残念だが隠し技満載のスーパーウーマンな警部補に苦手なものがあったなんて意外な事実を知らされた(笑)。2020/05/22
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