出版社内容情報
天才的技倆を持った漫画家と彼女を潰しにかかる出版社の辣腕営業部長、もとは同人誌で合作していた二人が不幸な結末を迎える「禁断の筋書」、ヤクザが仲間割れのあげく相討ちしたように偽装された殺害現場に佇んでいた栗山比奈が目撃証言を拒む理由とは……「少女の沈黙」、息子なきあと一見穏やかな日々を過ごしている老夫婦が悪党どもを爆弾で吹き飛ばし、官憲の捕縛を逃れて痛快なメッセージをよこす「女神の微笑」、以上三編を収録。
大倉崇裕[オオクラタカヒロ]
内容説明
今や生殺与奪の権を握る営業部長となった元同人誌仲間に干される漫画家、先代組長の遺志に従って我が身を顧みず元組員の行く末を才覚するヤクザ、銀行強盗計画を察知し決行直前の三人組を爆弾で吹き飛ばすエンジニア夫婦―過去数々の修羅場をくぐり抜けてきた経験は、殺人事件に際しても活かされる。福家警部補はどこに着眼して証拠を集めるのか。三編収録のシリーズ第三集。
著者等紹介
大倉崇裕[オオクラタカヒロ]
1968年京都府生まれ。学習院大学法学部卒業。97年「三人目の幽霊」が第4回創元推理短編賞佳作となる。98年「ツール&ストール」で第20回小説推理新人賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こら
83
続きましての第3作♪女性漫画家・元ヤクザ・元化学メーカー経営の老夫婦…今作は犯人の職業だけでなく、「少女の沈黙」の元ヤクザ筆頭に、動機も犯行方法(完全犯罪計画)もバラエティー豊かで、作者の棚は広いぞ、と唸らされる。このような変化は、『刑事コロンボ』からの独り立ちとして嬉しいです。あと、彼女との出合いによって一種救われる関係者の描写も読んでいて気持ち良い。そして、ついにライバルというべき人物も登場…?ますますヒートアップ!2021/12/29
sin
82
猫みたいに…気がつけばひょこり側にいる。飄々として頓珍漢、彼女の特技は情報収集、その眼鏡の奥に光る眼はなにを秘めているかわからない。そして狙った獲物は逃さない❗今回の獲物は、漫画家、元ヤクザ、現代の仕置人…シリーズ三作目ともなると警部補が過去に関わった人物もちらほらと、彼女の背景にある厚みを感じられるようですが、まだまだ全貌は証さない。『楽しかったよ。また会いたいな』2017/02/21
yanae
79
シリーズ3作目。短編3編が収録。今回は今まで以上に1作1作に力が入っている感じ。さらっと読むという感じではなかったかな。2作目は特に。捕まえないでって個人的に思ってしまい、福家警部の執念にぞぞっとしました。とはいえ、いつもの福家警部。なかなかバッジが見つからないとか、何日も徹夜とか…いつものお決まりのパターンにはホッとします(笑)いじわるな刑事をやりこめるところも爽快。2話目だけはせつなかった。最後の最後まで…。一番入り込んで読みました。3話目は最後に驚き。また出てくるの?次が楽しみです♡2019/10/07
ken_sakura
64
期待以上に面白かった(^_^)3つの中編。前2作が面白かったので手に取った3作目のハードルを越えて面白い\( ˆoˆ )/相変わらずすっとぼけた福家警部補が可笑しい。その福家警部補を脇役に、主役は犯人という感じが強い「少女の沈黙」がとても良かった。もう一人の福家とも言うべき人物が登場する「女神の微笑み」も良かった。次作も楽しみ。もう一人の福家には再登場を期待。2018/03/17
森オサム
61
福家警部補シリーズ3作目。1作目、2作目と面白くて続けて読んだ結果少々飽きてしまい(笑)、少し間を開けようと思ったら3年半経っていました。で、3作目ですがこれも非常に面白かったです。他の方のレビューでは、2話目「少女の沈黙」、3話目「女神の微笑み」の評価が高い様ですが、個人的には1話目「禁断の筋書」が好み。物語の厚みでは2,3話目が上かも知れませんが、それぞれの犯人の余裕綽々な感じがちょっと…。1話目の犯人の小物っぷりが(動機、犯行の手口も含めて)、焦りや恐怖を感じられ良かった。福家の怖さが引き立ちます。2024/01/28