出版社内容情報
高校時代「ルピナス探偵団」として様々な事件に遭遇してきた3人の少女と1人の少年。卒業後,4人のうち不治の病で世を去った1人が残した謎とは──。シリーズ第2弾。
内容説明
高校時代「ルピナス探偵団」と称して様々な謎解きに関わった三人の少女と少年一人。だが卒業から数年後に、一人が不治の病で世を去った、奇妙な小径の謎を残して―。探偵団最後の事件を描く第一話「百合の木陰」から卒業式前夜に発生した殺人事件の謎に挑む第四話「慈悲の花園」まで、時間を遡って少女探偵団の“その後”を描く、津原泰水にしか書き得ない青春探偵小説の傑作。
著者等紹介
津原泰水[ツハラヤスミ]
1964年広島県生まれ。青山学院大学卒業。89年より津原やすみ名義で少女小説を多数執筆。97年、現名義で『妖都』を発表、注目を集める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おたけஐ೨💕🥒🍅レビューはボチボチと…
84
84/100点 ルピナス探偵団シリーズ第二弾。いきなり、25歳になった摩耶の葬儀の場面から始まっていてビックリ。この作品は、その葬儀から高校の卒業式までの時間を遡った、4つの話しが収録されています。そこでは前作では影の薄かった摩耶の存在感が高い反面、彩子の姉不二子の登場が少なく、その点が少し残念に感じました。もうこの先の探偵団メンバーの活躍が見れないと思うと残念ですが、2作通して感じたことは、大学生や社会人になった彼らよりも、高校時代のルピナス探偵団が、やはり一番イキイキと輝いていました。2018/01/07
ゆんこ姐さん@文豪かぶれなう
71
小説家志望の彩子、古生物を愛する頭の回転の早い祠島達彦、彩子の編集者となる義理堅いキリエ、美しいが頭は残念な摩耶。高校時代「ルピナス探偵団」と称して様々な事件を解決してきた彼らの話は、さっさと嫁に行った摩耶の若き病死から始まる。時間を遡るように、小説も時代を遡ってゆく。警察官であり彩子の姉や、そのまた上司の庚午など、魅力的なキャラクターが多く、楽しく読んでいたのだが、二作目だと知り、途中で一作目の「ルピナス探偵団の当惑」へ。→2016/06/15
カノコ
49
再読。美しく、儚く、残酷だ。「ルピナス探偵団」として様々な事件に遭遇した四人の少年少女の、それからの記録。一遍ずつがミステリとしての完成度を誇っていたのが前作だとすれば、今作は四篇通して読むことで決してもう巻き戻せない彼らの青春時代の煌めきを追体験できる。それでも、もう取り戻すことはできないのだ、彼女たちのあの一瞬は。タイトルの通り、憂愁と追憶の物語。それでも覚えているから大丈夫、あなたは美しく高潔で愛らしいひとだった。こんな完璧な構成、幕切れってあるだろうか。わかっているのにさめざめと泣いてしまった。2020/04/23
藤月はな(灯れ松明の火)
46
前作を読まずに読んでしまったために探偵団の突然の葬送に驚きつつも彼女達が亡き友の遺志を汲んでいる優しさや常識がないとされる不二子の涙に心を打たれます。それから大学生、学園卒業までに遭遇したほろ苦い青春時代の事件を遡っていく。その中で際立つのが「初めての密室」での危険なのを承知で身勝手すぎる犯人を断罪した摩耶の高潔さとある決意です。彼女が過去によってどんな思いを抱いてそう言ったのか、決意が最期から続く「現在」でも叶えられたことを話を遡ることで知っている読者は切なくならずにはいられない。2013/03/04
森オサム
44
ルピナス探偵団シリーズ二作目。読み終えて、はーー、と息をつく。そして一話目に戻り読み返す。切ない、美しい青春小説でした。前作を読んでいる事が必須ですが、この探偵団の関係性とその終焉を涙なしには辿れないです。相変わらずミステリとしては微妙なので、そこには重心を置かず是非彼女たちの青春の軌跡に寄り添って読んで欲しいと思います。青春ミステリは苦手でいつもは余り楽しめない方なんですけど、本作は凄く心に沁みました。大人の方々の方がより刺さるんじゃ無いかな?、素晴らしい傑作を、二冊合わせてもっと多くの人達に伝えたい。2025/01/26