創元推理文庫<br> 赤い竪琴

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創元推理文庫
赤い竪琴

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  • サイズ 文庫判/ページ数 240p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784488469023
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

日常に倦み、無気力に生きるグラフィックデザイナーの入栄暁子は、祖母の遺品から出てきた夭折の詩人の日記を、その孫・古楽器職人の寒川耿介に返すため、尋ねていく。無愛想な寒川は、押し問答の末日記を受け取るが、お礼にと自作の赤い竪琴を暁子に渡す。この不思議な出会いは、沈潜していた暁子の心を強く揺り動かした。受け継がれる“絆”と“謎”の行方を描く、静謐な恋愛譚。

著者等紹介

津原泰水[ツハラヤスミ]
1964年広島県生まれ。89年より津原やすみ名義で少女小説を多数執筆。97年、現名義で『妖都』を発表、注目を集める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

コットン

27
元みにだんなさんのおすすめ本。研ぎ澄まされた感覚と、さりげない現実感のバランスがいい。例えば:『夜、古楽器たちの気配やその材料の香りに包まれて毛布に包まるのは、どきどきするような冒険であり、ソファの寝心地は(朝になると首や背中がポキポキ鳴ったけれど)苦にならなかった。』2012/11/13

あんこ

26
静かな場所で読みたいと思った。微かに聞こえる竪琴の音色と、海から眺める鯨の群れが美しかった。実際に見たわけでも、聞いたわけでもないけど、美しかった。永久少女たちへーに惹かれて読み始めたけど、津原泰水はこんなものも描くのか、と。不器用なふたり以外に何か事件が起こるわけではないのに、過去から現在への絡み合いは切なく、うつくしい。ひとつひとつのことばに翻弄されていくようでした。2015/03/05

ざれこ

19
文庫で再読。ものすごく淡々とした恋愛小説なんだけど、行間に想いが詰まってると言うか、過剰に涙を誘うような描写がないので、逆に胸を締め付けられた。寒川氏が好みど真ん中なこともあり、「あなたと逢うまで、自分を無力だと感じたことはなかった」こんな台詞言われたらもう、ね・・。鯨のソングや、赤い竪琴、イングリッシュヴァイオレットの音色、すべて聴いてみたい。津原さんの小説はいつも音が聴こえてきますが、今回のは切なかったな。2017/02/12

Tsukamo

17
以前読んだ『綺譚集』や『蘆屋家の崩壊』からは想像もつかないほど穏やかな恋愛小説で驚いたが、元々は少女小説の書き手だったので納得。これほど静かな物語を読んだのは久しぶりだったからかなり新鮮に読めた。祖母の遺品から出てきた寒川玄児の日記を返すため、その孫である耿介を尋ねた暁子。そこから始まる恋愛劇は、青春真っ盛りの甘さこそないが、苦くも美しい大人の恋愛小説としては素晴らしい作品であることは間違いない。2017/07/26

ふくしんづけ

12
三度目。個人的に著者の作品でいちばん好きだし、全小説でも五本指には入っている。けど前二回ともまともなレビューしていないので一度。一見、ふたりの世界の恋愛小説であるようだが、海を媒介に外部へ広がり、さまざまな物語が複雑に絡み合い、主軸となる彼らの物語にユニゾンしている。それと、甘さ苦さありつつも、恋愛の辛酸を舐め切ったヒロインの、どこか冷めた視点、淡々とした一人称の語り。これらふたつの要素が、閉じられた独りよがりな世界から、読者の漂う海へ物語を出港させ、二百頁ながらも濃密な船旅へ読み手を誘うのである。2023/02/18

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