内容説明
「手を下さなければ殺人ではない。私は何もしていない」偶然と悪意が重なる瞬間に“完全犯罪”を成し遂げた、春夏秋冬を名に冠する四人の少女と四つの事件。彼女たちの前に、それぞれの罪を見抜いた男性が現れる時、その心をよぎるものは―。犯罪心理と少女の心の綾を巧みに組み合わせた、全編を通して蓋然性の犯罪を扱う幻のミステリが初文庫化。『危険区域』他、全四編を収録。
著者等紹介
佐々木丸美[ササキマルミ]
1949年北海道生まれ。75年『雪の断章』でデビュー。77年『崖の館』を発表、抒情と幻想を湛えた独自の作風で人気を博す(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ベイマックス
68
図書館本。ミステリーにも様々なジャンルがあるんだね。でも、なんか、特に派手なこともなく、考えさせられるようなトリックもなく。『プロバビリティの犯罪』だって。2020/09/06
雪紫
57
文庫にて再読。犯した罪に導かれ、灯放つは恋の花。未必の故意が産む、必然の恋。ただし、片恋の相手は館三部作おなじみの男性達(と書いて全員将来の相手持ちと読む)。全編プロバリティーの犯罪を犯した少女達。だけど自らの罪を信じる心は情緒深く、ロマンスに満ち溢れた本。哲文君は立派なお医者様になられて・・・そして堂本さんは実に、らしいことで・・・。罪は救われ、灯は消える。だけど救いと芽吹きはそこにある。ずっと文庫積んでたけど、やっぱり良かったわ(じゃあなんで積んでた)。2022/04/07
藤月はな(灯れ松明の火)
39
冬都、春都、夏都、秋都。4人の少女は高慢な薔薇の寄生虫だった。ある時、彼女たちの一人が薔薇の首を細くしたことにより、薔薇は落ちた。寄生虫のようなのに「自分は特別」と自惚れていた彼女たちの殺意が偶然によって叶えられる。やがて彼女たちは「恋」という混乱の蛹で罪悪や狡猾などにドロドロに溶かされ、「平凡」という羽化を遂げる。しかし、誰かに糾弾され、恋の痛みによって許されなければ罰は終わらないというのは傲慢ではないのだろうか?特に秋都の糾弾に対して「あんたも同じ穴の貉じゃない」と少女達の本質は何一つ、変わっていない2013/03/03
ちょん
24
歌うような文体で綴られる少女4人の未必の殺意で行われた殺人事件のお話。出版社さんの企画でなかなか手に入らない本、とのキャッチコピーに惹かれ読んだのですが、恐ろしく面白かったです✨✨面白すぎて驚きが隠せない。少女に合わせて4話の短編集なのですがどの子の殺意も怖い。1番印象に残ったお話は「顔」です。溺れてる人を助けるか無視するか。その場で何をするか。「助けても殺人、助けなくても殺人」2020/11/12
hnzwd
21
プロバビリティの犯罪をテーマとした連作短編集。四人の主人公達それぞれが犯罪?を通して少女期から一つ大人になっていくような作りは不思議な感覚でした。直接的に手を下した訳ではない。犯罪をした訳ではない。でも探偵役は現れて。。2021/02/06
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