内容説明
泣き虫の葵と美しい弥生。同じ孤児でありながら、葵は虐げられ、弥生は愛されて育った。ある日、五人の男が大企業の継承権を持つ少女を求め、二人のもとを訪れる。葵と弥生、どちらが本物の継承者なのか?閉ざされた邸に引き取られ、ともに教育係の高杉に想いを寄せる彼女らが辿る運命とは―。権力争いの“駒”として育てられた少女二人の友情と懊悩を綴る『雪の断章』姉妹編。
著者等紹介
佐々木丸美[ササキマルミ]
1949年北海道生まれ。75年『雪の断章』でデビュー。77年『崖の館』を発表、抒情と幻想を湛えた独自の作風で人気を博す(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
相田うえお
121
★☆☆☆☆19097 『雪の断章』を読んでから暫く経ってたので雰囲気を忘れてましたが、読んですぐに「そうそう!思い出した!まるでシンデレラ定番設定!」マルミストはこれでメロメロになるんでしょうね(多分...)ここまでド直球に勝負されると清々しいくらいです。少女だというのに企業継承権などというもののために権力争いに巻き込まれるなんてねぇ〜。まあ「お嬢ちゃん達もいい加減にしな!」と突っ込みたくなるシーンもありましたが。この作品、会話少な〜と思いきや、長ゼリフがガツンとあったり、映像化したら役者さん大変そう。2019/10/24
藤月はな(灯れ松明の火)
33
少女らしい小賢しさがありながらもいい子として人に愛される弥生(楊子)、泣き虫で自分ばかりが貧乏籤を引いていると泣いていた葵。喧嘩しながらも共闘していた彼女達は企業での後継者争いに自分たちが絡んでいるという理由で引き取られる。弥生と葵、どちらも独善的で好きにはなれないけれども楊子の切なる言葉にもっと他に方法はなかったのかと叫びたくなりました。「雪の断章」の彼の問いかけと彼が関わっていたことに胸が痛みます。だから姉妹編だったのか。彼女達、そして彼女たちに関わるたくさんの人々を不幸にした敵が心底、許せないです。2013/03/06
マク
28
前作の雪の断章がとても良かったため読んだのだが、とても読みづらい。文章が前作よりさらに詩的でキャラもいまいち、さらに複雑。展開も喧嘩、仲直り、嫉妬をぐるぐると繰り返しているだけのような…。 自分の読解能力が低いのかも。2013/11/12
本木英朗
18
『雪の断章』姉妹編である。泣き虫も葵と美しい弥生。同じ孤児でありながら、葵は虐げられ、弥生は愛されて育った。ある日、五人の男が大企業の継承権を持つ少女を求め、二人のもとを訪れる。葵と弥生、どちらが本物の継承者なのか? 閉ざされた邸に引き取られ、ともに教育係の高杉に想いを寄せる彼女らが辿る運命とは――といった話から始まる。何だか途中からわけが分からなくなってしまった。一応、最後まで読んだけれど、ちょっとねえ。これは今の俺にはダメだった、と言えるよ。またいつか読もうと思う。2020/08/05
真琴
17
『雪の断章』の姉妹編。正反対の性格の葵と弥生が、大企業の御家騒動に巻き込まれる。前作を超えるドロドロの愛憎劇に昼ドラ顔負けだと思いました。丸美さんの詩的な文章に加え仏教の禅問答も加わり読み応えのある濃厚な読書体験でした。『雪の断章』の主要人物も登場し、リンクしている。「孤児四部作」続けて読もうと思っていましたが、お腹いっぱいのため一時中断。この2人の少女が別の立場で出会っていたら、どんな友情が繰り広げられたかと想像すると切ない。2023/01/04