内容説明
ゴミ捨て場に遺棄された覆面レスラーの死体は、後頭部の髪が無惨に切り取られていた。所轄の刑事三瓶と組む格闘技マニアの新人・城島は、不思議な魅力を持つ青年犬飼の鋭い指摘を受けて事件を追うが、犯行を告白するメモを残した男が死体で発見される。二人の男の怪死が描く構図が反転し、驚愕の真相をもたらす「覆面」ほか、端正かつ周到な仕掛けを鮮やかに結ぶ、本格推理連作集。
著者等紹介
伯方雪日[ハカタユキヒ]
1970年京都市生まれ。京都大学工学部精密工学科卒。書店勤務のかたわら執筆活動を開始(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みも
192
読友はつばあばさんのお薦め本。プロレス好きの僕の趣向を見込んで、楽しめるに違いないとご紹介くださいました。プロレスとミステリとの融合。連作短編形式の4話に加え、エピローグに明かされる真実。格闘技に精通した若手刑事と共に読者が歩む9年間の軌跡。そこに描かれるのは謎解きの妙のみならず、総合格闘技の登場によりプロレス界がぶち当たったジレンマ。「最強」という言葉が幾度も出てくるが、その単語には甘美な郷愁のように、プロレス界を覆う悲哀の残響もある。それら全部を包括した著者のプロレス愛に、僕はほくそ笑みつつ読了する。2021/06/15
はつばあば
59
父母の相続の話が片付きそうな今、父が「おい、面白いから読め」とあの世から手を回してくれたようなプロレス?格闘技を絡めたミステリー本。白黒TVの前で力道山が負けそうになると声を大にして応援。最後の土壇場で勝つとあれは八百長やと父のぼやきが懐かしい。誰が世界最強かなんて昔の男だけが云うものだと思っていましたが。覆面の男はどちらが死んだのか、プロレスは男だけのものと思っていたら女性の登場も有りで、強い男を作るのは男か女か等、プロレス団体の周囲で起きる4件の事件を、格闘技マニアの刑事が追うという面白い内容でした2019/07/24
choco
59
昨夜はちょうど格闘技の試合を観ていたがプロレスと格闘技の違いすら解らなかった私でも楽しく読める連続短編集。いやー、それにしても、痛い!と叫びたくなるなぁ。2016/09/26
はつばあば
48
この間プロレスモノを読んで、おっ今回も面白そうと読み始めたら読んだ覚えが。それでも読み友さんの、みもさんやGAKUさんにもこの本を紹介したくて最後まで再読了。今迄かかりました(#^^#)。プロレスは商売でもあります。元祖悪役の寿・・いえいえ社長さんであるしお強い方なんですが・・プロレスって男だけの社会と頭から思ってしまうと頭がこんがらがってしまいます。それを頭に入れてプロレス又は格闘技のミステリーを楽しんで下さい。kindleUnlimitedで読ませて頂きました2021/05/08
森オサム
48
著者初読み。2017年最初に読んだのは、何とも言えない不思議な作品でした。まず前提として、私はプロレス、総合格闘技、両方のファンであります。なので、本作はもんの凄く面白かったです。連作短編集ですが、特に動機の面がマニア受けする感じじゃ無いですかね。本格ミステリーとしては、トリックが弱いかな。また、警察や刑事の描き方がいい加減過ぎませんか?こんなに適当では無いと思いますけどね。まあ幅広くは勧めませんが、往年のプロレスファンなら絶対読むべき!全体を覆う物悲しくて、胡散臭い雰囲気。コレがプロレスの空気だよなぁ。2017/01/08