内容説明
二之浦ゆり子は青年医師・里見に誘われ、瀬戸内海の小島巡りに同行するが、その際、ひとつの無人島を目にしたことで、過去の悪夢が甦る。彼女は十五年前誘拐され、その島に放置されたことがあるのだ。里見と交際を始めたゆり子は、彼とともに過去の謎と向き合う決意を固めるが、浮かび上がってきたのは驚愕の真実だった。『症例A』の著者が贈る、ドラマとトリックが融合した傑作。
著者等紹介
多島斗志之[タジマトシユキ]
1948年生まれ。早稲田大学卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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しゅてふぁん
21
地元の中学教師であるゆり子は診療所の医師の里見と十五年前の自身が誘拐された事件の謎を探り始める。展開が早く、読みやすかった。その昔、村上水軍が支配していた瀬戸内が舞台だったので、村上水軍のことをよく知っていたら、もっと楽しめたのかな。2016/07/23
山田太郎
17
地味な感じの人だけど、外れがないような気がする。しかし、誘拐しなくても他にやりようがないかと思わないでもないですが。2010/10/13
ちょん
15
離島ミステリー。少し古いトリックのような気がしたが、スピード感がありとても面白く読めた。ゆり子の恋の行方を推理するのも楽しかった。2012/02/18
うえぴー
11
久しぶりの多島作品。昔から著書を集めていますが、『症例A』のブレイクで天邪鬼なワタシは読む気が失せ、しばらく近づきませんでした。反省。本書は創元が復刊しただけあって、隠れた名作だったんですね。ページ数は少ないものの、瀬戸内海を舞台にした濃密なミステリ。村上水軍の話も出てきて、とても興味深く、ネットで地図を見ながら、風光明媚なご当地小説としても楽しませてもらいました。主人公のゆり子が経験する「風景の角度が変わった」経験を何度も味わわせてもらい、ひさしぶりにクラクラしました。良作です!2014/08/31
やまだん
10
「海峡の前と後ろに同じ世界が現れた」という,村上海賊にまつわる不思議な話,ゆり子が12歳のときに誘拐された事件について調査を進めながら,青年医師である里見と島の数学教師のゆり子は仲を深めていく。里見がゆり子に近づいた動機や,誘拐事件の真相など,ミステリとしての見所もあるが,二人の周囲の人物についても,きっちりと人物が描かれている。ミステリとしての話の見せ方は,そこまで洗練されていないので,驚愕というほどではないが,ラストシーンは余韻が残る終わり方であり,やや読後感は悪いが印象に残る作品(60点)2016/08/06