内容説明
公孫樹の枯葉がふりそそぐ十二月、中学時代の同級生・竹田寛子が、ラブホテルで殺害された。高校二年生の木村時郎は、寛子の最近の様子が気にかかり、彼女の高校の同級生を訪ねた。そして寛子が、“プラスチック・ラブ”という謎の言葉を残していたことを知る。その帰り、時郎は事件を取材している柚木草平と出会う―。四季の移ろいと事件を綴った、青春私立探偵シリーズ番外編。
著者等紹介
樋口有介[ヒグチユウスケ]
1950年群馬県生まれ。國學院大學文学部中退後、劇団員、業界紙記者などの職業を経て、1988年『ぼくと、ぼくらの夏』でサントリーミステリー大賞読者賞を受賞しデビュー。1990年『風少女』で第103回直木賞候補となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
78
【柚月草平シリーズ】第4弾、番外短編集。タイトル作品にのみ、柚月が登場。高校2年生木村時郎を主人公に、一話毎に登場する彼女が変わる設定らしい。木村の中学の同級生竹田寛子が、池袋のホテルの一室で殺害される。気になった彼は、竹田の友達仲間を訪ね彼女が「プラスチック・ラブ」と言っていた事を知る。柚月は、取材中に木村と知り合う相手側の一人として登場するが、木村との話から犯人へとたどり着くらしい。作者樋口氏独特の世界観と自然や女性の描写が、何とも言えない雰囲気を出している。何か懐かしむ様な、そんな気持ちになる作品。2021/11/24
nemuro
48
既読は29冊。松岡圭祐(23冊)以下を引き離しての1位。一番好きな作家かもしれない。「2009年6月26日初版」。2度目の函館時代、2016年3月「くまざわ書店函館ポールスター店」で購入し同年12月読了。購入も既読もすっかり忘れ函館中央図書館から借りて定年退職直前、公私ともに超多忙な2017年3月末に再読。高校2年生の素人探偵・木村時郎の5月から12月までを描いた8篇。各篇に登場する相棒の女生徒達は全て異なるが“永遠の38歳・柚木草平”を思えば気にならない。草平とも遭遇の表題作。現在と未来のようで面白い。2023/05/20
ゴマ
39
本年51冊目。柚木シリーズかと思いきや高2の木村時郎が主人公の青春ものミステリーも少しありの8編からなる短編集。あとがきにも有りますが、木村君なかなかスカした奴です。柚木シリーズと同じ雰囲気で、まあ楽しめました。2016/10/23
七色一味
17
読破。この短篇集がよくわからんかった。や、1編1編は分かるんですが、全部主人公が一緒なのに、その主人公の設定がほとんどバラバラという違和感に付きまとわれながら読みました。ミステリー的にはすべてがすべて、綺麗に結末を迎えているわけではない、尻切れトンボのが結構ありますが、どれも青春だなと思わせる作品です。柚木草平が出てくる番外編も収録されてます。2015/06/07
nemuro
16
樋口有介ファンを自認する私ですが、意外にも未読だったようです。<青春私立探偵シリーズ番外編>とのことで、表題作を含む8編を収録。高校二年生の素人探偵・木村時郎が、かの柚木草平とも重なり、随分と楽しめました。本人いわく「短編が苦手」とのことですが、いえいえ短編も悪くはありません。2016/12/29