出版社内容情報
ベストセラーとなった「信長燃ゆ」「関ヶ原連判状」へと続く三部作第一弾!戦国の世、衰微著しい京都朝廷で後奈良天皇が崩御し、後事を託された時の関白・近衛前嗣は朝権回復のために奔走を始める。室町幕府再建が不可欠と、将軍・足利義輝と連携する前嗣の前に、松永久秀が立ちふさがる。
安部 龍太郎[アベ リュウタロウ]
著・文・その他
角川書店装丁室[カドカワショテンソウテイシツ]
著・文・その他
内容説明
応仁の乱以降、室町幕府は力を失い、群雄が割拠し、世は乱れた。古来、神々に礼を尽くして地上の平安を守ることを務めとしてきた京都朝廷は、衰微を極めた。弘治三年(一五五七)、後奈良天皇は後事を若き関白・近衛前嗣に託し、崩御。前嗣の奔走が始まる。幕府再建による朝権回復を目論む前嗣は、都を逐われた将軍・足利義輝と結び、都を支配する三好長慶を除こうと計画。これを阻もうとする長慶の権臣・松永久秀の秘められた思惑とは?『信長燃ゆ』『関ヶ原連判状』へと続く、壮大な安部龍太郎の戦国三部作第一弾、待望の文庫化。
著者等紹介
安部龍太郎[アベリュウタロウ]
1955年福岡県生まれ。国立久留米高専卒業後、作家を志して上京。図書館勤務等の傍ら作品を発表し、小説家に。89年から一年間、「週刊新潮」に連載した「日本史血の年表」(90年、『血の日本史』と改題し刊行)で衝撃的なデビューを飾る。主な作品に、直木賞候補となった『彷徨える帝』などがある
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
TheWho
14
応仁の乱以後衰退した室町幕府と共に衰微する朝廷の中で公家の名門五摂家筆頭近衛家当主でありながら、混沌とした戦国末期を奮戦する若き関白・近衛前嗣(前久)を主人公に公家社会から観た上下巻の戦国絵巻。13代将軍の足利義輝は、家臣の三好長慶から近江朽木に追われ京は下剋上の真っ只中で、近衛前嗣は義輝を擁護し長慶駆逐の謀略を進める。しかし前嗣の前に長慶家臣の松永弾正が立ち塞がる事となる。上巻は義輝が京での奪還戦に突入する。下巻の展開が楽しみです。2022/10/21
北之庄
9
衰運著しい朝廷を再興させんと立ち回る、五摂家筆頭の俊英関白近衛前嗣が主人公。彼のことは、織豊政権と対峙した黒幕としてその名はちょっと知ってはいた。 本巻では剣豪将軍足利義輝と手を結び、公武合体をすすめつつ、三好長慶や松永弾正と対決する。左大臣西園寺公朝はじめ、煮ても焼いても食えない公家衆や美濃の梟雄斎藤義竜、尼子修理大夫との決戦を控えた毛利元就等、早くも綺羅星の如く戦国大名達が登場、虚々実々の策を弄し手に汗握る。 前嗣の従者小豆坊がここぞの場面で放つ、不動金縛りの術がアクセントになっている。下巻へ続く。2019/01/14
黒豆
8
戦国時代もので脇役として良く登場する近衛前久を主人公とした唯一かな?物語、公家の視点で毛利との関わりが描かれている。下巻は上杉謙信、織田信長か?2014/02/06
kazukitti
6
んー安部さんのって「等伯」しか読んでないから作風がよくわからないんだけど、時代ものかと思ったら伝奇とスーパーナチュラルの要素があって、ちょっとあれぇ?感があった。個人的な偏見だけど、貴族って権力に寄生するタカリ屋のクソヤロウとしか思ってなかったんだけど、概ねこれでも間違ってない感じだったw まぁ一応主人公は天皇主権の国家を夢見つつも現実的に公武合体路線を選んだ上で、大名に無心をしに行くにしてもちゃんてテメェの足を運んでるだけマシなのかなってのはあった。時代的には異端の貴族ではあったのかな。2021/12/17
蛭子戎
6
桶狭間前くらいのありそうであまりない時代設定でしかも若き日の近衛前久が主人公。その後の織豊時代江戸時代幕末で実現されるようなことを近衛前久はすでに考えてたという話だけど所領300石にまで落ちぶれた近衛家には実現は難しく、同じく落ちぶれた従兄弟の将軍義輝と一発逆転を狙う話。2018/06/23