内容説明
歌舞伎界や芸能界の日常が、粋に端正に描かれるシリーズ第3巻は、昭和50年代に創作された作品群を収録。竹野記者が目黒のバス停でつづけざまに出会った女性にまつわる「目黒の狂女」、なぜ淀君は大坂の陣で逃げ延びなかったのかという歴史の謎を絵解きする「淀君の謎」、華やかな俳優祭で雅楽が活躍する「俳優祭」など、粒ぞろいの23編。資料には初刊時著者あとがきを併録。
著者等紹介
戸板康二[トイタヤスジ]
1915年東京生まれ。慶應義塾大学国文学科卒。劇評家、歌舞伎・演劇評論家、作家、随筆家の顔を持つ。江戸川乱歩のすすめでミステリの執筆を開始し「宝石」にデビュー作「車引殺人事件」を発表する。1959年「團十郎切腹事件」で第42回直木賞、1976年「グリーン車の子供」で第29回日本推理作家協会賞を受賞。1993年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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紫草
8
中村雅楽シリーズ第三巻。この頃になると雅楽さんはもうほとんど舞台には立たず、なので竹野さんが取材に行って聞き込んだ話を雅楽に相談に行くとか、昔語りとかで、初めの頃のような大きな事件は少ないけれど、その代わりしみじみとするような話が多い。舞台で人が死んだりするよりは、こちらの方がいいな。2019/05/21
アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯
8
歌舞伎役者、中村雅楽の日常の謎シリーズ。刑事コロンボの話が出て来たり、淀君の謎に挑む歴史推理ものがあったりと、楽しい趣向が読んでいて飽きない。解説で、松井今朝子さんが登場人物の誰が誰をモデルにしているのかという読み解きをしてくれているのが、歌舞伎や演劇に暗い者にとっては、うれしい。2014/09/18
bvbo
3
シリーズ3作目。表題作はもっとおどろおどろしいのかと思ってたのと違った。竹野さん知らぬ間に定年退職してた。歴史仮定作「淀君の謎」、「芸養子」はいい話なんだか悲しい話しなんだか。面白かったです。 2022/12/15
greenish 🌿
3
歌舞伎界や芸能界の日常が、粋に端正に描かれるシリーズ第3巻は、昭和50年代に創作された作品群を収録。竹野記者が目黒のバス停でつづけざまに出会った女性にまつわる「目黒の狂女」、なぜ淀君は大阪の陣で逃げ延びなかったのかという歴史の謎を絵解きする「淀君の謎」、華やかな俳優祭で雅楽が活躍する「俳優祭」など、粒ぞろいの23編。
Gen Kato
1
このシリーズは日常の謎もののハシリでしょうか。『女形の災難』のしょーもなさとか、『二枚目の虫歯』のさらりとオトナな仕掛けとか、ミステリー以外のなにかを愉しめる作品集。表題作なんか「ドレメの歌」ってダジャレが書きたいために舞台をドレスメーカー学院に設定したとしか…2014/05/08