出版社内容情報
福岡市内の高校に通う私は不思議な事件に遭遇する。天神に向かうローカル電車で奇妙な婦人に出会ったり、学園祭の舞台本番直前にシンデレラの衣装が消えてしまったり。事件が起こるたびに解決の糸口を示してくれるのは、知り合いの大学院生、飛木さんだった。解くことが叶わなかった問題も、真相に辿り着けなかった謎も全て覚えておこう。いつの日か扉を開ける鍵が手に入ると信じて。透明感あふれる青春ミステリ。
内容説明
四月のある日、私は親友から年上の彼氏を紹介され、同席していた大学院生の飛木さんと知り合う。彼は、天神に向かう電車で出会った婦人の奇妙な行動や、高校の文化祭でのシンデレラのドレス消失騒動など、私の周りで起こる事件をさらりと解き明かしてみせる不思議な人だった。「飛木さん、どうしたら謎が解けるようになりますか？」福岡を舞台に贈る、透明感溢れる青春ミステリ。
著者等紹介
吉野泉［ヨシノイズミ］
１９８３年福岡県生まれ。九州大学卒。２０１３年『カンタロープ』が第２３回鮎川哲也賞の最終候補作となる。『放課後スプリング・トレイン』でデビュー（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mocha
94
この手の本は多いけど地元が舞台だし、と手に取る。お、ちょっと違うかも。主人公も仲間たちもとても真面目な高校生。茨木のりこさんの詩に共鳴し、化学の実験を楽しみ、数学の難問が解けないことを悔しがる。あぁ、あそこの高校ならね、と納得。探偵役はＱ大院生。全体的にインテリジェンスを感じさせ好感が持てた。謎解きとしては3話目の「折る紙募る紙」が好き。主人公の名をペンネームにしたのか、坂木司の路線で行くわけね。としたり顔でいたらば最後にひっくり返された。次作が楽しみ。2016/09/18
takaC
91
泉の呼ばれ方（アクセント）は坂井泉水風なのか泉鏡花風なのかそれとも英語風なのか、はたまた博多弁だとそのどれとも違うのかなんて悩みながら読んでいたら実はそこがこの本の最重要ポイントだったと最後の最後に知らされた。そういえばみんな標準語で、誰も博多弁では喋っていなかったね。若者だから？2016/08/01
七色一味
82
読破。スプリング・トレインってどんな意味があるのか。春の電車？まさか！（笑）と、タイトルの意味の興味が先行して読んでみた作品ですが。が！近頃読んだ中では、こんなに「色彩に溺れる」ような感じの作品ってなかったんじゃないかな。そして、その色に対する絶妙な感覚。そんな、様々な色に彩られた連作日常ミステリー4編です。☆作中、山村暮鳥の「りんご」という詩が引用されてますが。それについて議論する小学5年生が、まるで小学5年生に見えないという（笑）☆とりあえず、あなたの感性で「色」、感じてください。オススメです。2016/07/15
おたけஐ೨💕🥒🍅レビューはボチボチと…
66
81/100点 初読みの作家さんでデビュー作。青春ミステリーと謳っていますが、謎解きの部分はそれほどでもありません。しかし青春小説としては充分に楽しめました。遠き昔の学生時代を思い出させてくれました。含まれている4つの話しの中では「学祭ブロードウェイ」が、後味は少し悪いですが一番面白く読めました。この４人の話しの続きを、まだまだ読んでみたいですね。2016/12/04
まりも
61
福岡の高校に通う吉野が、親友朝名から年上の彼氏を紹介された時に同席していた大学院生・飛木と知り合い、共に謎を解決していく事になる話。これは良い日常ミステリー作品ですね。爽やかな青春物語としてだけでなく、謎解きもそれなりに楽しめるので程良く読み応えがあって満足。学校生活を目一杯楽しむ高校生が、ちょっとした謎に挑戦する姿はすごく輝いていて、読んでてほっこりすると同時に羨ましくも思っちゃいますね。謎は薄味でしたが、読後は爽やかな気持ちで胸が満たされました。一生懸命な物語は好きだし、次巻も期待したい。2016/05/23
