出版社内容情報
ガリレオの口述筆記者ヴィンチェンツォ・ヴィヴィアーニ(1622-1703)が著した評伝三篇。古今東西、数多あるガリレオ伝のなかでも最初の評伝として資料的価値が高い。科学的な発見そのものよりも、発見を実用まで高めることに師ガリレオの真骨頂を見出す視点が独自である。初めての翻訳。
内容説明
ガリレオの口述筆記者ヴィンチェンツォ・ヴィヴィアーニ(1622‐1703)が著した評伝三篇。古今東西、数多あるガリレオ伝のなかでも最初のものとして資料的価値が高い。科学的な発見そのものよりも、発見を実用まで高めることに師ガリレオの真骨頂を見出す視点が独自である。初めての翻訳。
目次
アカデミア・デイ・リンチェイ会員、フィレンツェ貴族、トスカナ大公付き首席哲学者兼数学者、ガリレオ・ガリレイの生涯についての歴史的報告
振子の時計への応用に関するメディチ家のレオポルド殿下への手紙
最晩年のガリレオについての報告
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
64
ピサの斜塔での落下実験、振り子の法則などを見つけ、遂には地動説を解明するも当時の風潮によって弾圧されたイメージが強いガリレオ・ガリレイ。しかし、ガリレオ晩年期の口述筆記者を務めた作者が書く本書ではガリレオの生涯と人々との交流が簡素且つ活き活きと記されている。太陽黒点も見つけたのがガリレオだったとは知らなかった。実験によって生まれた振り子時計の原型を国家に無償で献上する心根や数々の発明の素晴らしさ、それ故に生まれた学者や聖職者との交流が微笑ましい分、作者の敵対者への嫌味やガリレオの失明への嘆きも際立っている2024/02/14
chie
15
超絶なパラダイム転換のかけはしとなった、ガリレオ・ガリレイの偉業を著した書。訳者解説によると「ヴィヴィアーニはガリレオを近代哲学の創始者として評価したというより、科学的発見を時代の要請するものに応用した偉大な人物として捉えていた」確かに、そんな感じだった。同じく解説では「今日では科学研究の目的は真理の探究、法則の発見であり、応用はどちらかというと余技に属する」とあるけれど、それは建て前上で、事情があるのだろうなー、と思った。敵対者も多かったけれど、おそらくそれ以上の庇護者の力が大きかったのは、2024/03/03
feodor
7
ガリレオの晩年期の秘書的存在であったヴィヴィアーニによるガリレオの生涯を示した3つの書簡。中心はトスカナ大公の弟レオポルド・デ・メディチ枢機卿に送った「ガリレオ・ガリレイの生涯についての歴史的報告」で、振り子の逸話や斜塔での落下実験などの伝説の出典となっている。宗教裁判によって自説を曲げさせられて……という印象があったが、それほど大きく取り扱われていないのもあり、その後も高名な数学者としての名声に翳りもないようで、むしろ失明のほうがずいぶん大きな痛手だったのだろうと感じるくらい。2023/12/10
馬咲
5
弟子によるガリレオ最初の評伝。時のアリストテレス主義的自然観の権威に抗しながらの科学的新発見に加え、発見を実用的な形で世に普及しようと努力した点に評価の比重が置かれている。個人的にはガリレオと親交のあった人々の知的ネットワークの存在が印象に残った。ガリレオが発見を実用化して諸国に提供しようとする際に仲介役となった人々や、彼のパトロンとして、彼が通常の臣下のように種々の義務に煩わされないよう配慮したメディチ家(トスカナ大公)の存在感が伝わる。ガリレオ自身も有望と見た研究者や芸術家への後援を惜しまなかった。2024/06/09
Fumoh
2
著者は若くしてガリレオの口述筆記者となった。著者の筆致は数学者らしい簡潔で隙のないもので、非常に読みやすい。だが、ガリレオの素顔が浮かんでくるような人文学的な内容ではなく、学的な研究報告書に近い。しかしそのためにすばらしい資料となっていると言える。物語然としていない分、ガリレオの受けた世間の評価がストレートに伝わってくる。科学発明だけでなくそれを実際運用化する才能が素晴らしく、国力の増強に繋がるものばかり。それを無料で国家に進呈するあたり、人から好かれそうな人物であったことが分かる。天文対話にまつわる騒動2023/12/30
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