内容説明
ぼくは思わず苦笑する。去年の夏休みに別れたというのに、何だかまた、小佐内さんと向き合っているような気がする。ぼくと小佐内さんの間にあるのが、極上の甘いものをのせた皿か、連続放火事件かという違いはあるけれど…ほんの少しずつ、しかし確実にエスカレートしてゆく連続放火事件に対し、ついに小鳩君は本格的に推理を巡らし始める。小鳩君と小佐内さんの再会はいつ―。
著者等紹介
米澤穂信[ヨネザワホノブ]
1978年岐阜県生まれ。2001年、『氷菓』で第5回角川学園小説大賞奨励賞(ヤングミステリー&ホラー部門)を受賞しデビュー。青春小説としての魅力と謎解きの面白さを兼ね備えた作風で注目される(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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- 評価
乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐々陽太朗(K.Tsubota)
489
収まるところに収まりましたね。実は本作は「秋期限定マロングラッセ事件」なのではないかと疑っていたが、下巻を読んで「秋期限定栗きんとん事件」に間違いなかったことを認めた。小鳩くんと小佐内さんの再会と再出発。しっくりしました。ところで、私は小佐内ゆきが怖い。彼女は復讐を愛する小悪魔だ。しかし、物語の最後に彼女が言った一言(復讐しようと思った理由)は私の心を捉えて放さない。故に私はこう予言する。「『冬季限定****事件』が上梓されたら、きっと読んでしまうだろう」と。小佐内ゆきに会いたいがために・・・2012/10/28
まりも
464
小市民シリーズ4冊目。小佐内さん凄まじすぎる。瓜野は実力ないのに上から目線で腹が立った事は確かだけど、ここまで完璧にプライドへし折られると流石に可哀そうな気もしますね。まぁ、胸がすく思いがしたのは確かですが笑 何にせよ、二人が落ち着くべき所に落ち着いて良かった。小市民になろうとするのではなく、分かってくれる人が傍いる事に満足するという考えにたどり着くまでに無駄に遠回りしたりと色々面倒臭い二人でしたが、その面倒臭い所部分も青春の一つなんですよね。二人がスイーツを楽しむ姿をもっと見たいし冬編も期待してます。2015/04/06
kishikan
426
やっぱり・・・じゃないな、どう言おうかな・・・単純な終わり方じゃなかったのですね。さすが上下巻のミステリ。栗きんとんも、布石の散りばめ方や幾重もの謎解きも、その謎に絡めた小鳩君と小佐内さんの関係も、非常に練られていて満足でした。2年生の秋から3年生の秋という一年間をかけた物語。ライトノベルでありながら、本格ミステリに引けを取らぬ満足感がありました。内容について、これ以上書くとこれから読む人に悪いので、ただただ皆さん読んでね、としか言えません。米澤さん、この続き、冬期限定・・・は無理なお願いなのでしょうか?2013/02/05
sk4
366
小鳩くんと小佐内さんに言いたいことがある・・・ 「 あ・な・た・た・ち・に・小・市・民・は・無・理・だ・!」 小佐内さんが瓜野(上巻)と小鳩くん(下巻)と同じネタ、マロングラッセについての会話をしてるんだけど、そこがすごく印象に残った。うわべだけの付き合いでも長く付き合えば、いずれ中までうわべと同じに染まってくるという話。瓜野は何も言えなかったけれど、小鳩くんは「栗は甘くしないといけないのかな」と返した。 「 あ・ん・た・ら・お・似・合・い・だ・よ・!」2012/09/16
くろり - しろくろりちよ
366
小市民シリーズ三冊目(下)。※ネタバレ注意※小佐内さんがさり気なく露骨に匂わせていた、マロングラッセのお話や、妖しい色気もあったレシート越しのキス…そんな伏線を見事に回収。小鳩くんはといえば、恋人の浮気を知ってどうするのかと思えばどうもしない、人間失格…。狐さんも狼さんも化けの皮が剥がれ過ぎです。「体温が上がるよ」それは互恵関係が故ではなく。二人が少し近くなった、のかな。それにしても瓜野くんは予想通り可愛そう…「他愛ない」って…そんな表現ができちゃう小佐内が素敵過ぎでした。冬季も楽しみです。2012/02/09