内容説明
開業にあたり調査事務所“紺屋S&R”が想定した業務内容は、ただ一種類。犬だ。犬捜しをするのだ。―それなのに舞い込んだ依頼は、失踪人捜しと古文書の解読。しかも調査の過程で、このふたつはなぜか微妙にクロスして…いったいこの事件の全体像とは?犬捜し専門(希望)、25歳の私立探偵、最初の事件。新世代ミステリの旗手が新境地に挑み喝采を浴びた私立探偵小説の傑作。
著者等紹介
米澤穂信[ヨネザワホノブ]
1978年岐阜県生まれ。2001年、『氷菓』で第5回角川学園小説大賞奨励賞(ヤングミステリー&ホラー部門)を受賞しデビュー。青春小説としての魅力と謎解きの面白さを兼ね備えた作風で注目される(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
再び読書
256
米澤氏三作目、正当な謎解きに迫る作品でした。二人がそれぞれ一人称で語るので、少しそこがうざい感はありましたが、中盤からの展開は流石に実力者と思わせる。ネットに関する理解が浅く、その辺りは本当かな?と思いながら、読み進めましたが、なんの滞りもなくぐいぐい引き込まれました。最後の結末は刑事ドラマのなんでこの人が罪を負わないといけないねんと言うジレンマもなく、すっきりと、しかも少しぞくっと収束させるところも粋です。こんどは「氷菓」系に進んで行きたいと思います。2013/04/13
Ame
230
誤解を恐れずに言うと、余韻が強い話や後味の悪い話を読んだ後の“箸休め”あるいは“お口直し”でよくお世話になる米澤穂信さんです。今回も絶妙なユーモアと予想の斜め上を行く着地で大いに楽しませてもらいました。犬捜しを専門とする調査事務所を立ち上げたところ、舞い込んできた依頼は「失踪人捜し」と「古文書解読」。一見何の関連性もない2つの事件がクロスし、事態は思わぬ方向に・・・。推理が淡々と進むので気負わずさっくり読めます。2015/01/17
エンブレムT
228
「いや、俺は迷い犬探しが専門で・・・」という言葉を言えないばっかりに、失踪人探しと古文書の解読という手に余る依頼を請け負ってしまった新米探偵の物語。2つの依頼がクロスしていく絶妙さ加減とホロ苦さ加減は、まさに米澤作品ならでは!後半のたたみ込むような鬼展開と、浮き上がってくるある人物の真意は鳥肌モノで、ハードボイルド作品を読んだかのような読後感になりました。押しかけ弟子・ハンペー、鉄火肌の妹・梓、世故に通じたネット友・GENなど、脇役陣も魅力的。これは、続編を期待しちゃっても良いのかな・・・?2012/07/16
くろり - しろくろりちよ
181
探偵もの。<紺屋S&R>…サーチ&レスキュー、犬探し専門の事務所を立ち上げたはずが、舞いこむ仕事は人探し、古文書の由来探り。想定外に後輩のハンペーも雇うことになってしまって、二人はそれぞれの事件を追い…。繋がっている二つの事件。どこで繋がるのか?とやきもきしながら読み進めました。最後のどんでん返しはやっぱり普通には終わらせてくれない余韻を残してくれます。ネットの相談人GENの正体もまだ判らないし、これはシリーズ化するのかな…?2012/03/20
🐾Yoko Omoto🐾
180
これは面白い!調査会社とも言える現代の探偵業と、ネット社会での対人トラブルの恐ろしさを生々しく描いたストーリー。探偵社に舞い込んだ依頼である失踪人探しと古文書の由来調査を進めて行く過程が、紺屋とハンペーそれぞれの一人称で進んでいく。読者にはわかっているその過程が終盤でどう一本の線に繋がるかの読ませ方が非常に巧い。この作品の副題は、直訳すれば「弱者の砦」となるのだろうが、主人公の紺屋にも失踪した佐久良桐子にも投影される非常に秀逸なタイトル。後味の悪いラストだが紺屋の心情はリアルで共感できる。続編が楽しみ。2013/10/28
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