内容説明
A女学院のニシ・アズマ先生の許にちょっとした謎が持ち込まれる、あるいは先生自らが謎を見つけ出す。すると彼女は、鋭い観察眼と明晰な頭脳でもってそれを解き明かすのだ!飄飄とした筆致が光る短編の名手による連作推理全十二編。昭和三十二年四月から一年間、『新婦人』に「ある女教師の探偵記録」という角書付きで連載され、後に一本に纏められた短編集の初文庫化である。
著者等紹介
小沼丹[オヌマタン]
1918年9月9日東京生まれ。早稲田大学卒。同大教授。1954年、『村のエトランジェ』が芥川賞候補となり、以後、『懐中時計』『椋鳥日記』などを発表。1996年11月8日没
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感想・レビュー
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NAO
89
【2021年色に繋がる本読書会】【月イチテーマ⠀イロ】ニシ・アズマは、現場百回というような物証第一の刑事タイプではない。かといって、ポアロのように犯人の心理を探るというタイプでもない。彼女は、ただ何事も見逃さない冷静な目を持っているのだ。この12の短編は、昭和32年に発表されたものどというが、古さをいっこうに感じさせない。むしろ、ちょっとレトロな雰囲気から、品の良さ瀟洒なイメージを受ける。作者は推理小説家ではなく、短編の名手といわれている。この作者の作品は初読みだったが、他の作品も読んでみたくなった。2021/03/06
コットン
76
とぼけた感じのほのぼの小説が小沼丹の持ち味だと思ったら推理小説も書いていたとは驚き。単行本が昭和33年刊行なので流石にカタカナの使い方は古さを感じるがユーモアは健在で恩師ハマムラ助教授をハムちゃんといったり、主人公ニシ・アズマ先生が名推理を働かせるときはメガネをかけているなどのパターン化が笑いを誘う。2015/01/17
みっぴー
61
タイトルを見て、これ絶体怖いやつ、と思ってたら、なんと日常の謎で驚いた驚いた(^_^;)ただ、悪意や殺人も有り、そっちに絡んだら話が個人的に好きでした。「眼鏡」と「蛇」が抜きん出て良かったです。一話がかなり短いので、内容を紹介しようとしてもネタバレになりそうなので控えます。日常の謎が好きな方、読んで損はないので、是非読んでみてほしいです。2018/01/26
雪紫
53
女学院の英語教師ニシ・アズマ先生が色んな季節の中で様々な謎をいつの間にかさくさく解く短編集。1編が短いため、え、もう終わったの?感も強めながら悪くない読後感でさくさく進む。好みは「指輪」「蛇」「十二号」「スクエア・ダンス」「シルク・ハット」「犬」で。2024/12/20
hirune
53
漢字の使い方も言葉遣いも古めかしい…それもそのはず、半世紀以上前に書かれた短編ミステリー集です。小柄で愛嬌のある顔をした若い女性教師が何か変だと思ったことを突き詰めて犯罪を未然に防いだり、解明したりする。窃盗犯とかはお話しして、盗品を返されたらそのまま逃がしちゃったりして、大らかです。ノッポで手足の長い女性のあだ名が蚊トンボスミス☆足長蜘蛛と言ってくれれば私だって「足長おじさん」のスミスさんだって分かったかも?こんな風に「足長おじさん」を使うなんて、男性作家にしては粋ですね(*^^*)2014/09/09