内容説明
最初の被害者は耳を切り取られ、さらに別人の小指を耳穴に差していた―。指は死後切断と断定され、連続殺人事件として捜査が始まる。続いて舌を切られ、前の被害者の耳を咥えた死体が見つかった。大阪府警捜査一課海部班の久松刑事を中心とした捜査は、真犯人へとたどり着けるのか?犯人側と捜査側、過去と現在の視点が複雑に交わりつつ、事件の全貌が明らかにされていく。
著者等紹介
黒川博行[クロカワヒロユキ]
1949年愛媛県生まれ。京都市立芸術大学卒。84年、第1回サントリーミステリー大賞佳作に入選した『二度のお別れ』でデビュー。86年『キャッツアイころがった』で同賞大賞を受賞。96年「カウント・プラン」で日本推理作家協会賞を受賞する
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
259
なんたるノワール、ミもフタもないタイトル。舞台はいきなりの凄惨殺戮シーンで始まり、ラストに至るどんでん返しに、ページをめくる手が止まらない。めちゃ好みの作家さん、またみっけ。2017/01/25
修一朗
112
引き続き初期の大阪府警モノを。これはいつものバディスタイルでも業界モノでもないハードボイルド調だ。バディの会話で話を進めていく形式と違って犯人側から淡々とバイオレンスシーンを描いていくスタイル。それでいて初期作品の特徴のトリックにはこだわっていて,レビューを挙げた皆さんは途中で分かったとおっしゃるけども自分は最後までわからずミスリードされたまま。文庫版と単行本版のラストが違っていることを御本人が解説している。自分は共感したいタイプなので文庫版の結末でOK。いつもの漫才は少な目,でも面白かったですよ。2023/07/24
papako
68
大阪府警シリーズ。これは今までと雰囲気が違う。大きく『警察』対犯人といった構図。そして『警察』『沢木』『彼(犯人)』という3つの場面が交錯している。読みにくさは感じませんが少し戸惑いました。あるトリックで犯人がなかなか特定されません。犯人が標的を追い詰めるシーン。警察が犯人に迫っていく過程で、真相や動機が明らかになっていき、なかなか読ませてくれました。単行本と文庫でラストが違うそうですが、文庫のラストで納得できました。大阪府警シリーズの中では異色でした。2016/10/16
キムチ
58
筆者初期モノと説明有り。警察の描き方が変容を遂げて行く端緒とも。まぁ~ず、メチャ面白い!時間が前後、交互。1人称と3人称が入れ替わる。私がいる日常空間~職場、移動経路が全て舞台になっているせいか、小説の展開を「一人シアター」で見入っている様な感覚。アクティブとノンが、これ又、交互に入れ替わる為 息をのんで見入ってしまう。主人公というか犯人はいわゆる「唾棄すべき」キャラ、非社会的最たる存在・・なのに、ラストではお見事★という私が変な感じ。単行と文庫の描き方の違いも面白い。久松刑事他が地味な書き方なので‥2018/09/25
ジュン
33
購入本。久々の黒川さん。デビュー間もない頃の作品ですかね、いつものユーモアかつハードボイルドは控え目にミステリアス&叙述トリックを駆使し、ある意味新鮮な感じで面白かった。ラストの1行は単行本と文庫本では違うらしいが、文庫本を読んだ今はこれで納得してます。2019/04/06