出版社内容情報
【第三十回鮎川哲也賞優秀賞受賞作】
これは罪と罰、
そして一生終わらない
初恋の物語だ。
従弟でかつての教え子だった青年は、
本当に養父を殺したのか?
弁護士の立原恭吾が何者かに殺害された。妻の高子は密かに養子の志史を疑い、かつて探偵事務所に勤務していた甥の若林悠紀に彼の身辺調査を依頼する。悠紀にとって志史は従弟というだけでなく、家庭教師として教えた子供の一人でもあった。謎に満ちた志史の過去を調べるうちに、悠紀は愛憎が渦巻く異様な人間関係の深淵を覗き見ることになる──第30回鮎川哲也賞優秀賞受賞作。解説=宇田川拓也
内容説明
弁護士の立原恭吾が何者かに殺害された。妻の高子は密かに養子の志史を疑い、かつて探偵事務所に勤務していた甥の若林悠紀に彼の身辺調査を依頼する。悠紀にとって志史は従弟というだけでなく、家庭教師として教えた子供の一人でもあった。謎に満ちた志史の過去を調べるうちに、悠紀は愛憎が渦巻く異様な人間関係の深淵を覗き見ることになる―第30回鮎川哲也賞優秀賞受賞作。
著者等紹介
弥生小夜子[ヤヨイサヨコ]
1972年神奈川県生まれ。白百合女子大学卒。第1回および第5回創元ファンタジイ新人賞の最終候補となる。その後第30回鮎川哲也賞に投じた『風よ僕らの前髪を』で、印象的な人物造形とそれぞれの心の綾を鮮明に描き出す筆力、卓越した文章表現が高い評価を受け、優秀賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
akiᵕ̈
30
弁護士である1人の男の殺人事件から炙り出されていく悍ましい過去の出来事や事件が、一つまた一つと明らかになっていく程に切なさ、怒り、憎悪がないまぜになって襲ってくる。大人を信じられず誰にも言えない秘密を持つ孤独な少年2人の心が通じ合えたとき、そこに芽生えた感情はどのように形を変えていってしまうのか。この2人が子供の頃からずっと抱えて来た心の闇と辿ってきた道のりを思うと、誰にも言えない、どこにも吐き出せない苦しさ、悔しさ、絶望が巨大なパワー、支えとなり生きてこれたんだろうと思う。どうか志史と理都に心の安寧を。2024/06/16
よっち
30
何者かに殺害された弁護士の伯父。犯人は未だ判明しない中、密かに養子の志史を疑っていた伯母が、元探偵事務所員の若林悠紀に志史の身辺調査を依頼するミステリ。家庭教師として教えた一人でもあり、誰にも心を許そうとしなかった志史。彼の過去を調べるうちに浮かび上がってくる存在。そして明らかになってゆく愛憎渦巻く異様な人間関係。悠紀の推理もなかなかいい線を突いていると思いましたけど、それをあっさり超えてくる業の深さと積み重ねられてきた複雑な思いがあって、その真相に唸らされると同時に彼らのその後をつい考えてしまいました。2024/05/20
おうつき
14
ネタバレを排してこの作品の魅力を語るのは中々難しい。 美しいタイトルからは想像できないくらい読み手の心を抉ってくるような物語だった。しっとりとした文章で描かれる犯罪の顛末に感情を揺さぶられる。一見地味な展開が続くが、リーダビリティーも高く不思議と中弛みせず読み切ることができた。2025/01/13
コチ吉
10
タイトルが秀逸で鮎川哲也賞優秀作でもあって読んだ。ミステリというよりどちらかと言えば犯罪小説といった趣の作品だったが、想像していた以上に登場人物の愛憎をめぐる業というか闇が深く、やりきれない思いが残る。2024/06/26
huraki
8
有能な弁護士が殺害されたとある事件について、被害者の妻から依頼を受けて若林悠紀は容疑者の一人である従弟の志史の過去を調べ始める。複雑な家庭環境で育った志史の、冷たく澄んだ眼差しに秘められた思い。少しずつ見えてくる彼を取り巻く環境に胸が締め付けられた。様々なものを背負って生きてきた彼の、今後の幸福を願わずにはいられなかった。2024/06/09
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