創元推理文庫
彼方の微笑

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  • サイズ 文庫判/ページ数 413p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784488441012
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

幼少の頃に凄まじい幻視体験を持った日高環は、成長してフレスコ画の制作に携わるが、仕事場であった聖堂学園の礼拝堂が爆破され、さらに身近な人物の死に直面する。すべてはひとりの少年によって引き起こされたものだったが、環はそれを契機として、自らが死そのものに強い魅力を感じていることに気づいた―イタリアを彷徨する、死に魅入られた女性の物語。長編幻想ロマン。

著者等紹介

皆川博子[ミナガワヒロコ]
1929年京城生まれ。「アルカディアの夏」で第20回小説現代新人賞、『壁』で第38回日本推理作家協会賞、『恋紅』で第95回直木賞、『薔薇忌』で第3回柴田錬三郎賞、『死の泉』で第32回吉川英治文学賞を受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

秋良

10
満たされない思いと孤独感は誰もが持っているもので、同じ物を見ていても実は違う物を見ているというのも当たり前のこと。それをやり過ごせる人と過ごせない人がいるんだけなのかも。環たちの虚無感は、それほど珍しいものじゃないと思った。2017/09/24

eirianda

7
曖昧模糊としているなぁ…。男は死体でないと、自分のものとして愛せない環。生きている男たちは、逆に環を自分の所有物として愛そうと試みるが、誰もがその手を掴み止めることができず、環は一人彷徨い続ける。生きながら死んでいる人物は、環も北森も冬人もその母。幻想というより、死に半分足突っ込んだ小説だった。2015/12/03

あまりりす

5
「死」に魅せられた人たちの、幻想的な物語でした。北森が変化していく様が薄気味悪く、冬人は終始理解不可能、まともな人間らしい大島に至っては終始イライラさせられ通しでした。誰も、どこにも辿り着かない。物悲しい、虚ろな物語でした。2014/02/18

Jimmy

3
これが「死の泉」以降、圧倒的な物語世界を提供してくれている皆川博子の初期長編とのことで購入したが、今年読んだ小説の中で一番苦痛で、これほど早く終わって欲しいと思ったことがない作品だった。しかも後半からラストにかけて加速度的に面白くなく苦痛になっていく、ある意味不思議な作品。2020/06/04

すすぎ

2
皆で破滅に向かうのかと、途中で暗澹たる気持ちになったが、この結末はどう解釈したらいいのか。冬人が一人向かった地。彼だけの安息の地。環が向かった世界。どこか分からないけど、遠い遠い世界に旅立った。そして北森。冬人を愛しているんだろう。康雄も愛しているらしい。違う世界を見つめつつ、環を待ちわびつつ、大島の面倒を見ている。なんとなく、北森は神に見える。目覚めたばかりの、迷いを抱えた神。環と邂逅したら楽園に行けるのか。2014/03/03

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