出版社内容情報
江戸時代末期、北町奉行所定町廻り同心の戸田惣左衛門は、若かりし日より悪人の捕縛や吟味に辣腕を振るい、『八丁堀の鷹』と謳われてきた。妻に先立たれ、園芸と囲碁を趣味としてきた惣左衛門と、やり手の父親を持ちながらどうにも気弱な息子清之介。同心親子が、時代に翻弄されながらも、遭遇した謎に真摯に対峙する。大老井伊直弼が暗殺された桜田門外の変を題材にした「逃げ水」、雪に閉ざされた旅籠での殺人事件を描く表題作「雪旅籠」など全八編。時代ミステリ『恋牡丹』姉妹編、文庫オリジナルで登場。
内容説明
若き日より『八丁堀の鷹』と謳われてきた北町奉行所定町廻り同心の戸田惣左衛門と、芝居好きの息子清之介。同心親子が、江戸から明治へと移り変わる時代の波に翻弄されながらも、数々の事件に真摯に立ち向かう。大老井伊直弼が暗殺された桜田門外の変を題材にした「逃げ水」、雪に閉ざされた旅篭での密室殺人事件の謎を解く「雪旅籠」など、滋味溢れる全八編。文庫オリジナル。
著者等紹介
戸田義長[トダヨシナガ]
1963年東京生まれ。早稲田大学卒。2017年、第27回鮎川哲也賞に投じた『恋牡丹』が最終候補作となり、2018年、応募作を改稿した『恋牡丹』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
雪紫
45
前作は、女性が縁の下の力持ちじゃん。と言わんばかりにそっちの活躍の印象が強く、惣左衛門の後添えお糸が今回も安楽椅子探偵ぶりを見せてるけど、話が多いからか、今回は惣左衛門の翻弄ぷりや活躍の印象も強い。表題作の密室も好みだけど「神隠し」、「天狗松」、「夕間暮」が時代小説的な感じも強くて好みだった。時代やそれに伴う事件に振り回されたり暴いてきた惣左衛門だけど、それでも彼は幸せだった。とそう思う。2021/09/21
あさうみ
27
時代小説にミステリーが融合するとこんなに面白いのか!と目から鱗だった「恋牡丹」の姉妹編が出て感無量…!表裏一体しているので2作合わせて楽しんだ。時代小説ならではのミステリーの技、事件解決のつけかたが秀逸。中でも「天狗松」は白眉。切なく優しい人情がじんと沁みる。2020/07/29
geshi
26
前作『恋牡丹』の間を埋める時代ミステリ。江戸時代の終わりという時代背景を色濃く謎に絡めた上で人情話としても良質な完成度の高い短編集。特に良かったのは、衆人監視密室のトリックを見破る一つ一つの伏線が実に手堅い『島抜け』、時代背景を活かした見えない人パターンをやって細部まで詰めがしっかりしている『出養生』、人間消失の謎・死体の凶器の謎が反転して悲しい結末へと行きつく『天狗松』、切腹するはずだった人物が殺される事件から武士の時代の終わりに繋がり一つの世代が幕を閉じる『夕間暮』。2020/08/23
四季
11
◯ 前作『恋牡丹』の姉妹編、移り行く時代を丁寧に登場人物達を優しく書かれているし読みやすかった。短編8つどれも楽しかったが仕掛けが花車で先が読めてしまったのが残念だったが読み終わってみると心に「じ〜ん」とくるものがあった。2020/10/04
モルワイデ鮒
10
八丁堀の鷹 戸田惣右衛門と、息子 清之介の八つの連作短編。『恋牡丹』の姉妹編、続けて読んだら良かった。再読する時は後書きを参考に。時代ものは、わからない言葉を調べながら読むのも楽しい。卒爾。伏線と物語の混ざり具合がすごく好み。不可解な謎の奥に心揺さぶられる真相とその後の『埋み火』が特に良かった。『出養生』のアレも味付けが面白い。時の流れに溜息。2025/03/23
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- 和書
- 心がパッと明るくなった