内容説明
22時48分着の下りで浜松に降り23時29分発の上りで帰る、それを繰り返した女が一週間目に死体で発見された―。現職刑事の五郎は名誉の負傷で入院中、そこへ見舞客が持ち込んだ「四十分間の女」事件。退屈していた五郎はもちろん、退職刑事である父親、同室の患者も加わって謎解きが始まった。議論百出するも、元刑事の洞察は宛として天眼通の如し。およそ不可解な行動の背景とは。
著者等紹介
都筑道夫[ツズキミチオ]
1929年東京生まれ。「やぶにらみの時計」「猫の舌に釘をうて」など小説の著書多数のほか「黄色い部屋はいかに改装されたか?」に代表される評論、キャノン「酔いどれ探偵街を行く」などの翻訳分野でも活躍
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
56
〔再読〕シリーズ第2弾。安楽椅子探偵ミステリ7作の短編集です。いつもの場所でいつもの二人の会話が基本ですが、今回の「四十分間の女」では第三者が出て来ます。列車の上りと下りの間、四十分間だけ毎日降り立つ女性が一人、一週間の後女性は貨物列車に跳ねられて亡くなる。毎日四十分間女性は何をしていたのか、何故亡くなる事になったのか。とてつもない推理の飛躍だが、その結末には脱帽する。「扉のない密室」では、状況から透明人間の犯行に見えるのだが、その裏にある想像もつかない人間ドラマの複雑さには、作者こそであり正に驚愕です。2015/09/15
涼
29
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2019/07/post-52b5a2.html2019/07/27
ミーホ
23
前作ではいつも同じシチュエーションだったのが、本作では第3者を交えたり、病室(普通に煙草吸ってるのが時代を感じるw)だったりとアレンジが加えられている。シンプルなままで充分面白いと思うけど、まぁこれはこれで(えらそう)実際の事件をヒントに著者が退職刑事になった気分で書いたという2作品が特に良かった!!突拍子のないシチュエーションでの殺人事件に、どういった道筋をつけるのか。。。期待高まる中それを裏切らない推理に脱帽。特に「四十分間の女」は、その推理の導きも素晴らしいが、ラストのゾッとさせる感じにうっとり。2015/12/27
みなみ
19
退職した元刑事が、現職の刑事の息子の話した事件の謎を解く安楽椅子探偵物のミステリー短編集第二弾。今作も痴情のもつれに起因する犯罪が多くて、リアル。少し論理に飛躍があるように思ったものの、一つの解決策として楽しく読了。お父さんと息子の二人の会話がメインだけれど、第三者が相談するパターンもあったりして、読みやすさは相変わらず。2024/02/10
coco夏ko10角
18
退職刑事シリーズ、7話収録。知り合いがやって来て相談するケースも。『四十分間の女』が特によかった。 遺書の意匠/遅れてきた犯人/銀の爪切り鋏/四十分間の女/浴槽の花嫁/真冬のビキニ/扉のない密室2022/10/18