内容説明
過去に未解決の殺人事件が存在したかもしれない。あたしたちはその謎を解くヒントを手にしているのかもしれない。二人して期間限定の探偵になっちゃおうよ、夏休みオンリーの探偵に。“スリーピング・マーダー”…凄くいい言葉じゃないの。―祥子の熱意に絆された恰好で弟の敬太郎も同調、天井裏から見つかった人形に端を発する事件探しは、瓢箪から駒の展開を見せていく…第6回鮎川哲也賞佳作入選作。
著者等紹介
佐々木俊介[ササキシュンスケ]
1967年9月27日、青森市生まれ。専修大学文学部国文科卒業。本書が第6回鮎川哲也賞に佳作入選し、デビュー
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感想・レビュー
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koma-inu
25
3点 21年の夏読本その2。8年前の自殺事件の真相を、素人探偵姉弟が夏休み期間中に解き明かす、青春ミステリ。スリーピング・マーダーというフレーズが出る事から、クリスティを強く意識した展開。どちらかと言うと、「五匹の子豚」に近く、容疑者一人一人を訪問して、推理します。アリバイトリックは、ストーリーを逆手に取った優れ物。そして最後に明かされるもう一つの真相は、今まで明るめのテンポだった展開を覆す、やり切れなさを感じました。夏の終わりはこんな気持ちになるのかぁ。2021/07/21
coco夏ko10角
19
スリーピング・マーダー。当時の関係者に話を聞きに行ったり現地に行ってみたり…。やはり青春ミステリは苦いものか。真相が明らかになった後の姉弟の様子が胸にくる。2017/12/23
マッちゃま@ありがとう皆さん良い読書ライフを (´▽`)/
9
8年前に自殺した従姉の部屋の天井裏から不思議な人形と、その中から不思議なメッセージが書かれた紙を見つけた主人公の姉弟。もしかしたら過去に未解決の殺人事件があったのかも知れない。2人で探偵しようよ、夏休みの間だけ…スリーピング・マーダーをテーマに素人探偵2人組が辿り着いた真相は!?初読み作家さんであり、長らく積まれてた作品でしたが予想以上の面白さ。なかなか辿り着かない真相にもどかしさも感じながらも、解決場面でのスパッとした謎解き。お見事でした ヽ(´▽`)/ エエモン ヨンダワ♪2016/03/06
Mark.jr
4
<両親を早くに亡くし二人暮らしを始めた並木姉弟は、引っ越したアパートの天井裏から古びた人形を見つける。そこには不可解な文章が。以前同じ部屋に住んでいた従姉は自殺を遂げており、不審に思った姉弟は独自に調査を開始するが...。> 青春というモラトリアムが終わった人、もうすぐ終わる人、まだ終わってない人それぞれの思い。シンプルながらも巧みに計算されたミステリーとしての仕掛け・構成。そして何よりビター過ぎる結末が、眠っていた事件を掘り起こすスリーピング・マーダーの形式と密接に絡んだ佳品になっています。2024/05/11
koo
4
檸檬殺人事件より遡ってデビュー作を読みました。8年前に自殺を遂げた従姉妹の死を掘り起こすスリーピングマーダーものでした。優しかった従姉妹の本当の姿が露わになる所は青春ミステリ特有の苦さ、残酷さがありますね。殺人動機及び自殺に見せかけたトリックには疑問符がつきますがメインプロットは良かったですね、それを窺わせる伏線はたくさん散りばめられてましたし。また90年代前半の描写も懐かしかったですね(笑)2022/03/13