出版社内容情報
中学生の望と祖母のお蔦さんが暮らす神楽坂。けれど周囲では次々と事件が発生し、2人暮らしの日々は何かと騒がしい……。粋と人情がたっぷり詰まった、ミステリ短篇集。
内容説明
お蔦さんは僕のおばあちゃんだ。もと芸者でいまでも粋なお蔦さんは、面倒くさがりなのに何かと人に頼られる人気者だ。そんな祖母と僕は神楽坂で暮らしているけれど、幼なじみが蹴とばし魔として捕まったり、ご近所衆が振り込め詐欺に遭ったり、ふたり暮らしの日々はいつも騒がしい。神楽坂界隈で起こる事件をお蔦さんが痛快に解決する!あたたかな人情と情緒あふれる作品集。
著者等紹介
西條奈加[サイジョウナカ]
1964年北海道生まれ。2005年、『金春屋ゴメス』で第17回日本ファンタジーノベル大賞を受賞してデビュー。2012年『涅槃の雪』で第18回中山義秀文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Shinji
109
西條奈加さん、二冊目です。サブタイトルにある「神楽坂」という地名なんですが… 東京在住の方は「おっ!」となるんでしょうか?コテコテの大阪人の私には天竺のように思えます。外国で言うとイスタンブールとかが思い浮かびます。この作品、お蔦さんのスーパーレディっぷりとかミステリーとか、あまり気にならなかったかな。何より人情だわ!身内はもちろん、友人、想い人、ご近所さん… チカラになりたいと思ったら即行動!こういう付き合いが本当は一番いいんだろうね!望もだけど、料理の上手い男は絶対モテます♪ さらりと面白かった!2015/11/27
きりこ
108
西條奈加さんの時代小説は単純に善か悪かと括ることができないような人々が登場するのですが、これも同じでした。法で裁けばそれでいいのか…と問いかけているようなお蔦さんの解決策。単に犯人探しで終わるのではなく何とか円満におさめようとするお蔦さんの思いや優しさは江戸人情話と通じるものがあります。友情や恋心を絡めて望の成長が描かれてもいるのですが、中学生が関わるには少し重い事件もありました。でも望を子供扱いしないで覚悟を求めるお蔦さんの厳しさは、自主的な行動という形での望の成長へ繋がっていきます。続く→2014/05/20
ふじさん
99
時代小説の書き手が、現代小説に挑んだ作品。感情豊かな少年と名探偵役のお婆ちゃんのコンビによるミステリー。そこに描かているのは、市井の人々の感情と日常の営みから生まれる気持ちの交差点。幼さの残る少年は、お婆さんの力を借りながら、謎解きや問題解決に挑む中で、人々の感情の機微に触れたり、善と悪といったありきたりの判断基準では判別出来ないものがこの世界にあることを知ることで成長する。下町の人情溢れるハートフルな一冊。 2022/03/23
よむよむ
89
雨上がり月霞む夜が良かったので、他の作品も…と手に取りました。作風があまりに違っていて戸惑いましたが、色々なジャンルを描いている作家さんなんですね。元芸者の祖母お蔦さんと可愛い中3男子、望が神楽坂を舞台にご近所のトラブルを解決していく。お蔦さんの解決が粋でかっこいいのですが、扱う事件は通り魔、振り込め詐欺、傷害、誘拐監禁など、ぞっとさせられるものが多く、日常生活に忍び寄る闇を感じた。これらの事件を通して望がたくましく成長していく姿がまぶしく、続編もあるようなので読んでみたい。2019/09/12
りょうこ
88
西條奈加さん祭りなのか?(笑)続けざまに今度はこのシリーズに手を出してしまった!連作短編だが1話1話良いお話!気になるのでこれの2作目も今年中に読んでしまおう!お蔦さんと望君にまた会いたいです!2016/12/14