内容説明
我利我利亡者の地主、不気味な絵を描く洋画家、弾けなくなった天才ピアニスト、元博徒の顔役、腺病質な少年、書かない少説家…といった人々が住む小島、知る人ぞ知る“変人島”に続発した事件の犯人は?本格仕立ての『変人島風物誌』と、冒頭にプロローグとエピローグを並列し、連作風の章立てで展開する構成が際立つユーモアミステリの佳品『私の愛した悪党』を併せ収める。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちゅう
5
クローズドサークルを探していて見つけた本。確かに、孤島モノではある。瀬戸内海の米島、別名変人島で起こる殺人事件。周囲3キロ、集落があり、駐在所、郵便局、八百屋、魚屋、雑貨屋があり、川もあり、週イチ日用品を運ぶ船が来る。万一の時は、すぐ本土から、警察、医者が来る。事件関係者は、変人達という括りだけれど、クローズドと言う気はしない。今ならNGの言葉が多い。なにしろ、関係者は、色気狂いばかり…なのだから。2020/11/25
みお
4
表題作、犯人の名前だけはすぐわかるし、トリックが強引すぎるような……。『私の〜』もトリックや真相はすぐにわかるようなものの、語り口はいい感じでした。2012/04/05
ササジマシュンイチ
1
中長編が2作。表題作は伏線も色々張ってあるし、登場人物だけでなく語り手も変人というパズルもの。ユーモアたっぷり。面白いんだけど、密室がちょっとスケールが小さいというかなんというか…。そこだけが残念。2作目は構成の面白いミステリ。詐欺を軸とした小エピソードが印象的。謎自体はすぐ分かってしまうのが残念だけれど、それ以上に感情移入できる語り手なのがいい。2014/05/21
kanamori
0
☆☆☆2011/10/16
都布子
0
時代小説のイメージが強い著者ですが、もともとは江戸川乱歩賞も受賞したバリバリの本格作家だったんです。表題作はその名の通り、変人ばかりが集まった島で起こった事件を描いたもの。密室トリックはちょっとした盲点です。併録の「私の愛した悪党」も、ピリッとした山椒のような作品。