出版社内容情報
一年前に死んだ、妻への疑問から、洋介は自らの足でその真相を探る決意を固める。彼女の死に隠された愛憎劇、「死を呼ぶ森」の謎を精緻な筆致で描く長編ミステリ。
内容説明
妻・香映の死を受け入れられずに不眠症を患った洋介は、謎に満ちた妻の過去から、死の真相を探る決意を固める。老舗酒蔵である実家を手伝う傍ら、自殺の名所と呼ばれる森で自殺防止ボランティアとして活動していた彼女に、あの日いったい何が起きたのか―。暴かれていく真実は、名酒を生み出す母なるあの森へと洋介を導く。話題の著者が巧みな心理描写で端正に描く、長編ミステリ。
著者等紹介
吉永南央[ヨシナガナオ]
1964年埼玉県生まれ。2004年、コーヒー豆と和食器の店を営む老女・杉浦草の活躍を描いた「紅雲町のお草」で、第43回オール讀物推理小説新人賞を受賞。08年1月に受賞作を含む連作短編集『紅雲町ものがたり』を刊行(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yu
33
Kindleにて読了。 妻が自殺した現実を受け入れられず、妻の死の真相を探ろうとする洋介。老舗酒造を実家に持ち、実家を手伝う傍ら、自殺の名所である森で自殺防止のボランティアとして活動していた妻。妻の死後、不穏な動きを見せる義理の妹。事故死だと思っていた妻の両親も、実は自殺だったという事実。真実を探れば探るほど、老舗酒造と森を取り巻く関係に翻弄されていく。 終始暗い鬱蒼とした森に引きずり込まれていくような、何とも言えない感覚が伴う作品だった。次第に明らかになる事実に驚愕。知らない方が幸せな真実もある。2017/03/26
roomy
23
面白くて一気に読了したけど読後感は良くなかった。2013/12/23
紫
19
森が話の核であるからか、鬱蒼とした描写が多い。それがこの物語の雰囲気と合っていて、最後まで払っても払っても何かが覆い被さってくる。展開が気になるのに、獣道のように草木が邪魔してなかなか読み進めることができない。最後に森ではなく、海や開けた空が見えるところに行けて良かったと思う。それが唯一の救い。2017/03/07
マサキ@灯れ松明の火
18
自殺防止のボランティアをしていた妻が、自殺した…なぜ?不眠症に悩まされながらも…その謎を追い求める夫「洋介」。すべては…人を死へと誘う森に秘密が…?歴史ある酒蔵を守るために悲劇は起こる…清き水の涌き出る泉を持つ「森」には…死へと導く女神がいるという……死した魂が解き放たれるのは…いつになるのか…?2013/02/22
hydrangea
14
雰囲気は静謐に、進み方はゆっくりと、場面描写は繊細に展開されます。ただ物語の結末はあまり読後感の良いものではないのですが、これも一つのありかたなのかと。もうちょっと物語にアクセントがあると、テンポに乗って読み進められたかもしれません。何をすることが一体正解だったのか、自分には判断しきれないラストでした。2014/04/20