内容説明
今日も今日とて披露宴帰りに謎解きを始めた猫丸先輩。新聞記事につられて現地へ赴くこともあれば、あちらの海では船頭修業。絶妙のアドリブで舞台の急場を凌ぎ、こちらでは在野の研究家然とする。飲み屋で探偵指南をするやら、悩み相談に半畳を打つやら…天馬空を行く不羈なるおかたである。事ある所ないところ黒い上着を翻し、迷える仔羊の愁眉を開く、猫丸先輩ここにあり。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
103
本作で探偵役を務める猫丸。その後シリーズ化されているが、確かに面白いキャラクターだ。船頭のバイトだったり、劇団員だったり、と意表を突くシチュエーションで絡んでくる。それが私をして猫丸というキャラクターに好感をもたらせることになった。島田荘司風ミステリあり、ハートウォーミングストーリーあり、ロジックのみを追究したミステリあり、サスペンスありと様々だ。おまけに自身もエピローグで述べているように全ての殺害方法が違う。墜落死、凍死、溺死、毒殺、撲殺、絞殺、刺殺。デビューに向け、当時の全てを吐き出したようだ。2010/03/27
aquamarine
95
みんな大好き猫丸先輩。短編単体やアンソロジーでお会いしたことがありましたが、シリーズとしては初読です。著者の他の作品で読みにくかったことはないのに、なぜかこの本はやたら読みにくく、実は何度も挫折したのちの今回でした。しかも、少々粗のある部分も…と思ったら、なるほどそういうことでしたか!好みによると思いますが、私はとても好きです。その後も含めて十分に楽しみました。真実はどうなのかわからない、でも「空中散歩者の最期」「生首幽霊」が特に理路整然としていて好きです。「海に棲む河童」の解釈も忘れられないと思います。2018/10/21
takaC
91
猫丸先輩はどこにお住まいなんだろね。2015/07/02
ダイ@2019.11.2~一時休止
90
猫丸先輩その1。短編集。デビュー作。緩い雰囲気がいい感じ。約束がよかった。2013/09/17
ふじさん
78
著者のデビュー作にして「猫丸先輩シリーズ」第一作。直接の繋がりがない作品を並べた連作集と思わせて、終盤、一冊全体に関わる真相を炸裂させる構成は如何にも東京創元社流でニヤリ。論理に傾倒した作風も心地好く、どんな事件にも飄々と紛れ込む猫丸先輩の恍けた魅力が、初登場時点から存分に楽しめる内容だった。あえて短篇単位で一作選ぶなら「約束」が特に好き。仕掛けの性質を思うと注釈付きになるが、傍若無人なトリックスターという顔の裏に優しく温かな眼差しを秘めた猫丸先輩だからこそ、本作の企図や結末は成立し得たのだと強く感じる。2021/10/04