創元推理文庫<br> いざ言問はむ都鳥

創元推理文庫
いざ言問はむ都鳥

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  • サイズ 文庫判/ページ数 246p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784488419011
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

miri

57
著者はこの一冊を上梓し筆を折ってしまったようですが、なんとも残念。主人公は植物学者、師事する教授や院生、近所の住人や趣味の音楽仲間が登場する、カテゴリーとしては日常の謎系なのでしょうが、四季の風の流れを感じる純文学のようでもあり、文体の精密さを味わいながら読んでいました。アジサイ、ジンチョウゲ、ニシキウツギ…と続いていく植物の名前に、著者の植生に対する造詣の深さを感じるのに、法学部出身。不思議。題名もとてもいい。『いざ言問はむ都鳥』2019/10/09

kochi

21
共に植物学の大学教員である敬(けい)さんと樋口は、フィールドワークの帰りの早朝、自宅付近の道路上に散らばる花びらに気づく。花びらの同定の話題から、二人の観察眼と突飛な発想力が平和な住宅地の意外な真相に… 住宅地のそれぞれの家の差異を見ながら、分子進化の中立説を想起し、和猫のしっぽの長さについて、遺伝淘汰圧に言及する。千円札で電車の切符を購入するとき、いくらの切符を買えばお釣りの十円玉が最大になるか?をも瞬時に考える。そんな理系の人達が主人公のミステリでも、事件の背景は極めて人間的f^_^;2015/10/20

おうつき

18
どこか牧歌的な雰囲気を味わっていると、予想外に鋭い一撃を喰らわされる連作短編。自然を見つめることによって命題に答えが齎される様が実に鮮やか。日常の謎、というジャンルに押し込めるには少々刺激の強い毒気が良いエッセンスになっていた。2024/04/17

Tetchy

16
一見「日常の謎」系の短編集だと思うが、人の死が、犯罪が介在するミステリなのだ。沢木敬が語り手となって進む物語は、上に書いた平井教授とその仲間達の日常風景と大学の学生達のエピソードと沢木の植物に関する薀蓄などが上手く絡み合って実にほのぼのしたタッチで語られる。その話に挟まれる小さな事件、もしくは事件とはいえない、ちょっと変わった出来事の裏に隠された真相は実に魂の冷えるような手触りをもっている。澤木喬氏の作品は今のところ、この1作のみで現在絶版だ。再び書店の棚に陳列されるためにも新作を発表してもらいたい。2011/09/13

びっぐすとん

9
108円本。初読作家さん。『伊勢物語』に出てくる和歌を使ったタイトル、植物の表紙に惹かれて購入したが、ウーン・・硬質の文章、なんだかはっきりしない事件に馴染めなかった。真面目さが強くて、くだけたシーンも何だか硬い。お上品な推理小説だった。学者探偵だから仕方ないけど、アカデミックな会話においてけぼりになってしまった。2018/05/28

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