内容説明
憧れの日本へと辿り着いた私立探偵トウキョー・サム。そこは伝統と現代が交錯し、神とホトケ、そしてサムライ・スピリットが息づく不思議の国であった。異国の文化に戸惑いながらも、真のサムライにならんと意気込むサム。そんな彼が挑むは、奇妙なセップク事件、茶室の密室、オイラン見立て連続殺人!第48回日本推理作家協会賞を受賞した、山口ミステリの精華。
著者等紹介
山口雅也[ヤマグチマサヤ]
横須賀市生まれ。早稲田大学法学部卒業。1989年『生ける屍の死』でデビュー。『日本殺人事件』で第48回日本推理作家協会賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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セウテス
84
【探偵トーキョー・サム】シリーズ第1弾。外国人が勘違いしている日本を、舞台として描いたミステリ。よって時代設定は間違いなく現代なのに、侍が刀をさして街を歩き、忍者や切腹が存在している。形式は、私立探偵トーキョー・サムが、憧れの日本へ来て3つの事件と出くわすという物語。間違いではあるのだが、その誤解が妙に本質を見通している様で、単に笑えるというだけではない。この世界観でなくては成り立たない推理の論理が、山口氏らしい独特な味わいを出している。是非とも英語に翻訳して、外国人に読んだ感想を聞きたいと心から思う。2022/08/18
みゆ
79
初読みさん。米軍の街で私が手にした本は「アメリカ人探偵が日本を舞台に難事件を解決する」と言うもの。しかしそこに描かれた日本ではスーツ姿で帯刀、ビルの前には鳥居が立つ。そんなトンデモ日本勘違い本を翻訳したのが本書であると言う設定。事件の内容も「切腹」「茶の湯」「遊郭」とジャポネスク色たっぷり♪大笑いできるバカミスと思って手に取ったのですが、作者・山口さんの日本文化への深い造詣が随所に現れ、ラストは哲学的ですらありました。当初のイメージとは違いましたが面白かったです('∇^d)☆!!2022/09/22
hit4papa
57
著者による翻訳の体をとり、異世界(!)の日本を舞台にした本格ミステリです。何が真実で何がほら話か分からなくなる語り口が、本作品集の魅力でしょう。外国人から見た日本をパロディにしており、ニヤっとなるくらいのずれ加減が良いですね。随所で開陳される薀蓄も、これホントかしら?とついつい首を傾げてしまいます。ユーモアミステリの味わいながら、キラリと光る哲学的な件もあって、単調に陥る事がなく、飽きさせません。全三話の私立探偵 トーキョー・サムの活躍は、第三話が一番のお気に入り。何といってもタイトルが秀逸です(爆)!2020/09/02
ステビア
16
ガイジンが想像している(していた)ような奇妙な日本で起きる殺人事件をアメリカから来た私立探偵が解決するというもの。一種の日本文化論でもあるらしい。ミステリとしてはあまり評価できないところもあるが(非常に不合理な解決がある)、紛い物の日本模様が面白かった。著者のファンなら楽しめるだろう。2015/08/11
カノコ
10
外国人が想像する日本を舞台にしたミステリ。セップク、チャノユ、オイランをモチーフとした三編。「侘の密室」の結末にはポカンとしたし、その他の作品もあまり特筆すべきことはない。けれど、有り得ない日本の描写が何とも楽しく、読むに耐える一冊ではあった。結局、エクボさんは何なのかしら…?ということで、続編も是非読んでみたい。2015/09/13