出版社内容情報
三皇五帝のひとり黄帝が造った銀牌は何千年も受け継がれてきた天下御免の証、これを持つ侠客の前には皇帝の勅命とて無力である。仙人めいた老人かと思えば若き豪傑であったり、はたまた美しい少女であったりする“銀牌侠”は、明晰な頭脳と無敵の武術を具えた謎の存在として、今日も旅の空で弱きを助け強きを挫く。蘇州では饅頭の売り上げを奪われかけた十歳の少年を助けてやり、お礼をしたいからと家に誘われたところが……。第三回ミステリーズ!新人賞受賞作「殺三狼」に始まった“銀牌侠”伝説、戦国から民国時代の中国を舞台に描く第二集。文庫オリジナル。
内容説明
神行法縮地術をもって瞬く間に町並みを過ぎ運河を飛び越え、目にも留まらぬ早業で数多の敵をなぎ倒す。武は超一流、頭脳明晰、黄帝由来の銀牌をちらつかせれば何事も自由自在。抜群の身体能力と天下御免のアイテムに恵まれた“銀牌侠”は、今日も旅の空で弱きを助け強きを挫く。虚実ないまぜの中華世界を舞台に描く笑いあり涙ありの銀牌侠伝説、『もろこし銀侠伝』に続く第二集。
著者等紹介
秋梨惟喬[アキナシコレタカ]
1962年岐阜県生まれ。広島大学文学部史学科卒業。93年「落研の殺人」が鮎川哲也編『本格推理2』に、95年「憧れの少年探偵団」が北村薫・宮部みゆき選『推理短編六佳撰』に収録。2006年「殺三狼」で第3回ミステリーズ!新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アイゼナハ@灯れ松明の火
33
武侠小説とミステリーが融合した〈銀牌侠〉シリーズ第2弾。このシリーズ、結構面白い♪今回は、前巻でも“勢(システム)”なる思想を説いたとされる慎到先生ご本人が登場する戦国時代の頃の話から、辛亥革命の頃の江南を舞台にした話まで、時間と場所を自由に飛び越えた中短篇4作を収録。前巻の話と登場人物がかぶっているお話も一篇あって楽しい。それぞれ趣きがあって良いのですが、個人的には今後も、市井の子供を銀牌侠が救う『鉄鞭一閃』(前巻で言えば『殺三狼』)みたいなお話を、必ず一つ入れるのをお約束にして欲しいです。続巻待望!!2011/04/03
たこやき
8
シリーズ第2作。トリックなども面白いのだが、個人的には、その背後の中国史が面白かった。例えば、2編目は、現代では思いつかないような動機とそれに伴う犯人の行動だが、そこに歴史上のある皇帝の行動を加えると、「あるかも」と思えてくる。そして、4編目、辛亥革命時代の物語。辛亥革命が、中国の歴史に極めて大きな事件なのは確かだが、ただ政治体制の変化以上に、伝統の破壊、とか、そういう風にも言えるのだな、というのを感じる。それぞれ、違ったテイストもあり、そういった意味でも満足。2011/04/21
みお
7
シリーズ第二弾。前作はピリッと粒ぞろいのミステリ(ミステリ主眼)、今回は物語のスケールを大きくミステリ部分はちょっと控えめな印象を持ちました。おもしろかった!ですが、前作の『もろこし銀侠伝』がとにかくめちゃくちゃおもしろくて大好きだったので、比べちゃうなぁ……。いえ、前作の方が私の好みだったっていう、単に好みの問題だと思いますが。銀牌侠やそれをめぐる設定はおもしろいし、三作めもそわそわして期待しています。2012/01/25
たまご
5
「もろこし銀俠伝」がすごく面白く,続編でないのかな~,と図書館ぶらついていたら,新書ではなくno careだった文庫の棚にこれとこの次の2冊を同時に見つけ,ちょっと狂喜. 中国史も武侠小説も全く門外漢ですが,楽しめます.知ってたら,もっともっと楽しめるんだと思います.でも,「もろこし銀俠伝」がいろいろびっくりでも人間が主役なのに,今回は”勢(システム)”を書くために話が作られているように思いました.ちょっと社会派…(違う).2012/08/05
hnzwd
5
銀牌俠シリーズ第二弾。時代はますます幅広く、銀牌俠の誕生から最期の?銀牌俠まで網羅されています。一話ごとに探偵役が変わるシリーズながら話の底には一本通った筋があります。各年代の銀牌俠達も周りを固めるキャラクター達も魅力に溢れ、どれを取ってもシリーズ化できそうなパワーを感じます。各話の最初に挿入される話は…途中まで故事ありなのかと思ってました。民明書房刊みたいなものだったのね〜2012/06/19