出版社内容情報
医科大学の脳外科臨床講義初日、初老の講師は意外な課題を学生たちに投げかけた。患者の脳にあった病変が消えてしまった、その理由は? 正解者には今期の試験においてプラス50点を進呈する、というのだ。一向に正解にたどり着けない中、西丸豊という学生ただ一人だけが意外な真相を導き出す――。選考委員が絶賛した第11回ミステリーズ!新人賞受賞作「消えた脳病変」他、臨床医師として活躍する後の西丸の姿を描いた連作ミステリ集。現役医師がソリッドな謎解きで贈る、“臨床探偵”西丸豊の推理。『片翼の折鶴』改題文庫化。
内容説明
医科大学の脳外科臨床講義初日、初老の講師は意外な課題を学生に投げかける。患者の脳にあった病変が消えた、その理由を正解できた者には試験で50点を加点するという。正解に辿り着けない学生たちの中でただ一人、西丸豊が真相を導き出す―。第11回ミステリーズ!新人賞受賞作「消えた脳病変」他、臨床医師として活躍する後の西丸を描いた連作集。
著者等紹介
浅ノ宮遼[アサノミヤリョウ]
1978年生まれ。宮城県仙台市出身。新潟大学医学部卒。2014年、「消えた脳病変」で第11回ミステリーズ!新人賞を受賞。16年、同作を連作化した『片翼の折鶴』を刊行。医師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タイ子
94
こういう医療ミステリも面白い。救命救急センターを舞台に様々な救急患者を前に医師として限りの究明と治療方法を模索していく5つの短編集。病院内の出来事のみを描き、患者の病気を事細かに説明入りで描写するので素人には分かり易くて助かる。単なる病気を治療するだけではミステリにもならないが、担当の医師がどうしても突き止められない隠れた病気をピタリと当てる臨床医がいる。主人公の西丸豊医師である。意外な盲点を突いてスッキリさせてくれるこんな医師が病院に一人は欲しいものだ。「片翼の折鶴」が好き。続編が読みたい。2022/04/07
★Masako★
85
★★★★ 優れた洞察力と幅広い知識により"臨床探偵”と呼ばれる医師・西丸豊。彼が務める救命救急センターを舞台にした医療ミステリ短編集♪ とても楽しめた! 病気が解明されるまでの過程がとにかくいい。患者や担当医師の心理を丁寧に描き、伏線となる情報がきちんと提示されている。病気についての専門的なことも分かりやすく書かれているので、スムーズに読める。特に好みだったのは、ミステリーズ!新人賞受賞作の「消えた脳病変」、患者の心理に重きを置いた最終話の「片翼の鶴」。米沢穂信さんの解説が的を得ていて良かった。2020/04/25
えみ
56
豊富な医療の専門的知識と類稀なる推理能力を併せ持った優秀な医師・西丸豊。彼の前に差し出された病に纏わる謎を医師としての鋭い観察力と、そこに与えられている情報の裏の奥を透視するような着眼点で真相を導き出す医療ミステリ。医学生時代、そして臨床医師となった西丸の活躍は、他の患者や医師、病院関係者などの心に今一度己と向き合う機会を与えていく。なぜ患者の脳病変は消えた?なぜ頻繁に発作が起きる?なぜ体の中から血が消える?なぜ幻覚が現れた?なぜ自殺未遂の患者の傍に右翼の折り鶴が?医師と謎と真実が重なる、連作短編集。2024/12/13
あっちゃん
35
なんかコレ覚えがあるなぁ、なんて思いながら読了(笑)文庫化で改題したのね…まぁ、忘れてる所多数だったので丁度良かったという事で( ̄▽ ̄)2023/01/17
タカギ
29
とても好きな連作短編集。論理的でフェアなミステリであり、小説として美しい。医療ものとしても面白い。文章が良い。ミステリはミステリであることが第一で、文章は二の次ということも残念ながらあると思うのだけど、本書は心地好く読める。解説の米澤穂信氏や北村薫氏が好きなかたの鑑賞にも耐え得ると思う。「血の行方」「幻覚パズル」「消えた脳病変」「開眼」「片翼の折鶴」の5編で臨床医の西丸豊が活躍する。私は西丸の若き日を描く「消えた脳病変」がイチオシ。拙速になっては困るが、新作を読みたい。悩ましい。2020/03/29