内容説明
音信も絶え、生死のほどさえ分からなかった親友に、こんな大都会の片すみで、こうしてバッタリ座席を横取りされようとは…。会社帰りの電車内で邂逅した二人。過去の因縁浅からず、なにゆえ親友になったやら、お互い首を傾けつつ付き合いを再開する。双方が伴侶を得ても物語は終わらず、頭数の倍加によって情勢は複雑に。たかが親友、されど親友。嗚呼、腐れ縁はどこまでも。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
78
【天藤真 短編集】第1弾。作者デビュー初期の作品集であり、ユーモアミステリからシリアスな物語まで、バラエティー豊かである。タイトル「親友記」は、少年時代からの親友と社会人になって表面上は変わらずとも、心理的な駆け引きがまるでサスペンスの様に描かれる。オチのきいた物語という作品が多く、設定としてはちょっと目付が変わっていて凄いと思う。残念なのは、それを活かしきれていないのではと感じる事だ。殺人事件などは無いものの、「誓いの週末」と「穴物語」は犯罪謎解きミステリとして、推理する事に挑戦でき満足のいくものだ。2021/06/16
coco夏ko10角
21
9つの作品収録の短編集。どれもデビューから二年間に書かれたもの。ミステリからユーモアっぽいものまで。『なんとなんと』『夫婦悪日』『誓いの週末』がよかった。2020/12/10
うえぴー
19
こんな素晴らしい作家の作品を今まで読んでこなかったなんて……。不明を恥じます。本書は著者初期の短編集。シリアスからコメディまで幅広く、引き出しの多さに驚かされる。特にコメディタッチの作品が魅力的で、読んでいても声に出して笑ってしまうことが多かった。半世紀も前の作品なのに、まるで古びていないところもすごい。ジュブナイル推理ものの「誓いの週末」は、子供向けとは言え、奇妙な窃盗事件、親友に向ける疑惑と友情の板挟み、姿の見えない容疑者、推理合戦、意外な真相と盛りだくさん。ミステリって、本当にいいものですね。2016/02/09
MIKETOM
5
読み終わるのに八日もかかってしまった! 短編集なんだけど、第一話目と二話目がなんか読みにくかった。リズムが取りにくいのか、すーっと入り込めない。2、30ページ読んでは本を閉じ、みたいな感じかな。第三話目以降は大丈夫だったんだけど。内容は、ユーモアがちょっと空回りしてる感じ。まあ、天藤の最初期の短編集だからまだ文章力の練度が足りないんだろうね。長い目で見てあげましょう。「大誘拐」や「殺しへの招待」などは十分合格点だし。天藤作品は積読にまだ五冊もある。本書に比べてどう変化していくのかが楽しみだね。2018/11/09
Tetchy
5
ミステリ色よりもオチのついた小噺といった方が適切な作品が多い。「なんとなんと」、「鷹と鳶」、「夫婦悪日」などは正にそれで「犯罪講師」に至ってはコントですらある。本格的なミステリと云えるのは「塔の家の三人の女」、「穴物語」、「誓いの週末(これは秀逸)」の三篇だけだろう。「声は死と共に」は天藤作品らしからぬ暗い作品でなんとも後味が悪く、結末も歯切れが悪かった。が、最後の「誓いの週末」にその片鱗が窺えるのが収穫だった(ある意味、これはチェスタトンだよなぁ!!)。2009/06/30
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