創元推理文庫
アンドロギュノスの裔(ちすじ)―渡辺温全集

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  • サイズ 文庫判/ページ数 635p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784488407117
  • NDC分類 918.68
  • Cコード C0193

出版社内容情報

横溝正史編集長の下で『新青年』の編集に携わり、創作・翻訳に精力を傾ける中、わずか27才で逝去した天才作家・渡辺温の傑作を集成。全編雑誌初出のテキストを校訂して贈る。

内容説明

構溝正史の右腕として『新青年』の編集をしながら小説の執筆に励んでいた渡辺温は、原稿依頼に赴いた谷崎潤一郎宅からの帰途、貨物列車との衝突事故で27年の短い生涯を閉じた。僅かな活動期間に遺した短篇、脚本、映画に関する随筆、翻訳など、多彩な分野の作品を執筆年代順に網羅。初の文庫版全集として一冊に集成した。憂愁と浪漫に溢れる、影絵の如き物語世界を御堪能あれ。

目次

小説(影 Ein M¨archen;少女 ほか)
掌篇(春ノ夜ノ海辺;夕の馬車 ほか)
脚本(氷れる花嫁 他三篇;どぶ鼠 ほか)
翻訳・翻案(新薬加速素;絵姿 ほか)
映画関係の随筆ほか(想出すイルジオン;或る風景映画の話 ほか)

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

33
デビュー作となった「影」の完成度に舌を巻き、代表作の「可哀そうな姉」でのラストで卓袱台が引っくり返るような転換の上手さに度肝を抜かれます。「象牙の牌」、「赤い煙突」、「イワンとイワンの兄」、「勝敗」、「遺書について」、「或る母の話」、「悲しきピストル」が好きです。プロバビリティと人間心理を利用した完全犯罪を描ける稀有な作家だったんじゃないでしょうか?読んでいると丸尾末広氏の作画で再現されました。「ドリアン・グレイの肖像」のダイジェスト翻訳の「絵姿」や「島の娘」などの海外小説の原本も読んでみたくなります。2013/02/19

いりあ

29
乗っていた自動車が列車事故に遭い、若くしてこの世を去った渡辺温の文庫版全集。様々な名義で執筆活動をしており、今回の全集では埋もれてた作品も出来るだけ発掘して収録しようという方針だったようです。とても不思議な作品です。普通に物語が展開していたはずなのに、ラストでは「えっ!?」ってなります。基本的にはブラックな内容になっています。この辺が時代を反映しているのでしょうか。短編だったり小品ばかりですが、もし長編を書いていたら、奇書と呼ばれる物を世に出していたかもしれないですね。そう思うと残念です。2015/07/29

そうたそ

27
★★☆☆☆ 横溝正史の右腕として「新青年」の編集に携わりつつも、貨物列車との衝突事故で27歳の若さで早逝した渡辺温の短編、脚本、随筆、翻訳等を網羅した全集。小説と呼べるもの自体はこの作品の半分ほどしか残されていないだけに、何とも早逝が悔やまれる。全集である故に面白いと思ったものは数えるほどしかなかったが、この若さでこの才能。不運な事故がなければ彼はいずれとんでもない傑作を生みだしていたかもしれないと思うと早逝が悔やまれてならない。ミステリというよりもどこか奇譚風な味わいが色濃く感じられた。2018/11/27

不在証明

16
読みあたりは童話のように軽妙で、何ともいえぬ奇妙なおもしろさ。山高帽子とステッキが良く似合う。数多いとは言えない作品群、これだけしか書き得なかったのが惜しまれるくらい、好みな作品ばかり。一番良かった『可哀相な姉』―通過儀礼と済ませてしまうような冷淡さはなく、しかし私のしたことは一見人道に悖るものであるのは違いない。それでも、血の通った残酷行為の中に、姉への愛情を見つけてしまうのは、単なる思い違いだろうか。私は姉を愛していたのです、そう言われても疑わない。2016/09/19

佐藤一臣

12
「アンドロギュロスの裔」「少女」ロマンチストで現代のライトノベルの走り?こうであったらいいのになあという若き青年の思いを投影するような感じ。ちょっとした事件をちょっと甘く味付けしたやつ。自意識過剰な時代の若者には受けるだろう。もうちょっと主人公以外の人物の後ろにあるものを描いてくれれば厚みが増すのになあ。2015/07/12

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