出版社内容情報
1958年、無名の青年が大学在学中に書いた作品が雑誌〈宝石〉に一挙掲載され、大反響を巻き起こす――大藪春彦の鮮烈な登場は、まぎれもなく日本ミステリ史上の事件であった。本書はその輝かしきデビュー中編「野獣死すべし」を巻頭に据え、大藪版『血の収穫』とも言うべき初期長編『無法街の死』と八つの傑作短編を収録。伊達邦彦や彼にはなれなかった男たちが織りなす、狂熱と冷酷さが渦巻く大藪ハードボイルドの世界を俯瞰する。
内容説明
大藪春彦の登場は、戦後ミステリ史上の事件であった。デビュー作「野獣死すべし」とその主人公・伊達邦彦が与えた衝撃は大きい。“日本ハードボイルド全集”第二巻の本書では、その「野獣死すべし」を巻頭に据え、さらに長編『無法街の死』と八つの短編を収録。暴力と怒りが渦巻く、大藪独自の小説世界を確立させた初期の傑作を集成する。巻末エッセイ=馳星周。
著者等紹介
大藪春彦[オオヤブハルヒコ]
1935年朝鮮・京城生まれ。58年、早稲田大学在学中に書いた「野獣死すべし」が“宝石”に掲載されデビュー。銃器の正確な知識に裏打ちされた迫真のアクションとバイオレンス描写を盛りこんだ作品が人気を博し、終生ベストセラー作家として活躍した。代表作に『蘇える金狼』『汚れた英雄』などがある。96年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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くさてる
27
兄が好きだったので、十代の頃によく読みました。大人になっての読み返すと、やはり「野獣死すべし」は傑作中の傑作。それ以外の作品は時代を感じるものも多いし、あまりの人死にの多さには荒唐無稽ささえ覚える。それでも圧倒的に読ませるこの力は本物だと思いました。2022/01/16
本木英朗
15
〈日本ハードボイルド全集2 大藪晴彦〉である。暴力の嵐、血潮の海。その奥底に孤独と怒り!とあるのだが……。うーん、俺にはちょっと今回の話は悪かったなあ。とりあえず以上です。2022/02/11
kenitirokikuti
8
図書館にて。先日、結城昌治『ゴメスの名はゴメス』を読み、次に近所の図書館にあったこの「創元推理文庫/日本ハードボイルド全集」の結城昌治の巻を借り、ついでにこの全集も読んでみようかしら、と他の巻も借りた▲解説と「野獣死すべし」を読んだ。優作主演の映画版も含め、読んだことなかったなぁ▲大藪は1935年生まれ。終戦時に朝鮮北西部にいたが、運良く日本に生還する。1958年に早稲田在学中に「野獣死すべし」を執筆。ワセミスのルートで『宝石』掲載に至る。大江健三郎も1935年生まれで、1957年に「奇妙な仕事」。2024/08/30
funa1g
4
解説にもある通り、大藪という作家がいかに暴力とりわけ銃に憑かれた作家だったのかよくわかる。全作品に暴力とマチズモ的ロマンティシズムが満ちている。めちゃくちゃウケたのもよくわかる。今読んでも面白い。特に無軌道な暴力が暴力を呼び、全てを破壊し尽くす「無法街の死」が良かった。こんな場所日本にあってたまるかとは思うが。そういう意味では全作品非常にコミックな作品でもある。他短編ではスタイリッシュにバッチリ決まっている「黒革の手帖」、妖刀のように銃に魅入られた男の復讐譚「暗い星の下に」が良かった。2021/11/18
あいあい
3
大藪の前に大藪なく 大藪の後に大藪なし。 唯一無二のハードボイルド。2022/04/27
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- 和書
- 快音快調中国語(初級)