出版社内容情報
第二次世界大戦後、独自に発展した日本のハードボイルド/私立探偵小説。その歴史の草創期に、大きな足跡を残した作家たちの作品を全七巻に集成する。第一巻は生島治郎の巻。地方都市の腐敗した選挙戦を冷徹に描ききる長編『死者だけが血を流す』に加え、港町にうごめく人々の悲哀を海のブローカー久須見健三の視点で切り取った「チャイナタウン・ブルース」「淋しがりやのキング」など珠玉の六短編を収録。巻末エッセイ=大沢在昌
内容説明
日本ハードボイルドの歴史を凝縮した全集、ここに始動。第一巻では直木賞作家・生島治郎の傑作を厳選して贈る。地方都市の腐敗した選挙戦を冷徹に描く長編『死者だけが血を流す』に加えて、港町にうごめく人々の悲哀を見つめる海のブローカー久須見健三ものや、世にあぶれた者の人生の刹那を浮かび上がらせる逸品など、珠玉の六短編を収録。
著者等紹介
生島治郎[イクシマジロウ]
1933年上海生まれ。早稲田大学英文科を卒業し、デザイン事務所勤務を経て早川書房に入社。日本版『エラリイ・クイーンズ・ミステリ・マガジン』創刊に携わり、のち第二代編集長に就任する。退社後の64年に長編『傷痕の街』を刊行し作家デビュー。67年、『追いつめる』で第57回直木三十五賞を受賞する。89年から93年までは日本推理作家協会の理事長を務めた。2003年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ずっきん
75
編者の名に激しく惹かれ、生島治郎作品、初読みである。昭和ど真ん中の舞台にして、翻訳小説のような読み心地。筆致にじめっぽさなく「おお、カッコいい」と素直に呟いてしまう。これは『ハードボイルド』というジャンルと、半世紀以上も前に書かれた物だという隔世の感の合わせ技だろうか。『血が足りない』がダントツに好み。行間から聴こえる息遣いと、むせ返るような匂い。漂うペーソスは儚い思いを包み込み、果ては握りつぶす。ハードボイルドなのかどうかは別にして、すべてのクライムノベル好きに、この一遍だけでも是非読んでいただきたい。2021/07/17
GAKU
54
読友さんのレビューを拝見し、このような全集が刊行された事を知りました。生島治郎さんのハードボイルド小説を読むのは今回が初めてです。殆どの作品が60年代から70年代に書かれたもので、逆に時代を感じる文体が渋さを増しているように感じた。どの作品もそれぞれ面白かったです。追ってこの全集を読み進めて行きたいと思います。 2021/07/28
本木英朗
19
〈日本ハードボイルド全集1 生島治郎〉である。もちろん俺は今回が初めてだ。地方都市の腐敗した選挙戦を冷徹に描く長編『死者だけが血を流す』に加えて、港町にうごめく人々の悲哀を見つめる海のブローカー久須見健三ものや、世にあぶれた者の人生の刹那を浮かび上がらせる逸品など、珠玉の短編を収録している。なるほど、そうだったのか。日本ハードボイルドという言葉を今知った、と言ってもいい。さすが作者である。またすぐに読もうっと。いやはや、大満足でありました。2021/05/27
くさてる
16
外国のハードボイルドは読んでいるけれど、日本のものはほとんど未読。そんな私にとって、興味をそそられる全集です。生島治郎も初体験。表題作は、類型的な登場人物に昭和のウェット感と倫理観、先が読める展開、とマイナスポイントが揃っているはずなのに、ラストまでぐいぐい読まされてしまいました。他の作品も同様で、正直、昭和ぽいというか感覚が古くて、これは描写されている風俗の面白さだけかなあと思っているうちにすいすい面白く読まされる。50年近く前の小説と思えば、やはり際立ったものがあるんだなあと感じました。2021/07/14
一乗寺隼人
7
『血が足りない』を読んで全俺が泣いた。 2021/04/27
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