出版社内容情報
犯罪学を嗜む高等遊民ダゴベルトが、退廃の都ウィーンの社交界で起きる様々な事件を見事に解決。オーストリアのコナン・ドイルと称された著者の日本初となるオリジナル短編集。
内容説明
20世紀初頭に入り爛熟期を迎えた文化都市ウィーン。音楽と犯罪学に打ち込む素人探偵ダゴベルトは、友人グルムバッハ夫妻との晩餐後、葉巻と珈琲を楽しみつつ、ハプスブルグ朝末期の社交界で起きる様々な難事件解決の顛末を披露する。「クイーンの定員」にも選出されたダゴベルト探偵譚から9篇を精選。オーストリアのコナン・ドイルと称される著者の本邦初となるオリジナル短篇集。
著者等紹介
グロラー,バルドゥイン[グロラー,バルドゥイン] [Groller,Balduin]
本名アダルベルト・ゴルトシュライアー。1848年、ハンガリー領ルーマニアのアラドで生まれる。大学卒業後はジャーナリズムの世界に入り、美術批評、論説、コラム等を寄稿するかたわら、多数の小説を執筆する。エラリー・クイーンの「クイーンの定員」にも選ばれた「ダゴベルト探偵譚」は、ドイツの代表的叢書であるレクラム文庫から1910年から12年かけて6冊刊行された。1916年歿
垂野創一郎[タルノソウイチロウ]
翻訳家。1958年香川県生まれ。東京大学理学部卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
星落秋風五丈原
39
探偵は事件を未然に防いでこそというのなら、本編の主人公であるダゴベルト・トロストラーは合格だ。ただシャーロック・ホームズのような名探偵を想像すると肩透かしを食らう。彼がやっていることは、ほとんどがやんごとなき身分の人達のスキャンダルのもみ消しだからだ。だから派手な逃走劇とは無縁だ。舞台となる街も霧の町にして女王が君臨するロンドンと、ハプスブルグ帝国の都ウィーンという町が持っている雰囲気の違いがある。召使がいる間は事件の事は一切話さないというルールも徹底している。2021/01/03
HANA
35
時は第一次世界大戦前、場所はウィーン。高等遊民タゴベルトが友人に語るは、様々な厄介事とその解決に至るまで。ミステリとしてみるとアンフェアな作品ばかりだけど、これは解決に至るまでの過程を楽しむものだと気がついたら、グイグイ話に引き込まれていった。訳者が解説でこの解決法を「なかったこと」にする。と書いているがまさにその通り。以前読んだ『エステルハージ博士の事件簿』もそうだけど、この作品群も牧歌的な古き良き時代の雰囲気とやがてそれが失われる無常観を漂わせていて、読みながら雰囲気に浸ることができる。2013/05/06
ごへいもち
32
読友さんご紹介本。楽しく読めました。訳者による解説も良いのですが装丁が地味というか暗い感じなのが内容と合っていないと思いました。2014/02/07
Norico
21
20世紀初頭のウィーン、素人探偵のダゴベルトの謎解き物語。作者は、オーストリアのコナン・ドイルと言われてたらしい。表紙の絵から、もっと暗くて怖いようなお話しかと思ったら、気楽に読める短編集でした。その時代から指紋で同一人物割り出すデータベースもあったみたいだけど、何百とある指紋から人力で同じもの探すなんて、ものすごい労力と専門知識ないとできなかったんだろうなぁ2014/03/10
本木英朗
16
オーストリアのミステリ作家のひとりである、バルドゥイン・グロラーの作品のひとつである。俺は2013年に1回読んでいて、今回で2回目だ。20世紀初頭に入り爛熟期を迎えた文化都市ウィーン。音楽と犯罪学に打ち込む素人探偵ダゴベルトは、ハプスブルク朝末期の社交界で起きる様々な難事件解決の顛末を披露する――という話であるのだが……。うーん、ちょっと今回はほとんど負けであったかな。とりあえず以上です。2022/06/20